さすらいの用心棒

マーニーのさすらいの用心棒のレビュー・感想・評価

マーニー(1964年製作の映画)
3.3
幼少期のトラウマを抱えて盗癖に陥った女性(ティッピ・ヘドレン)と、彼女を立ち直らせようとする男(ショーン・コネリー)のサスペンスドラマ


私的27本目のヒッチコック監督作品。『鳥』に引き続いてティッピ・ヘドレンがヒロインを続投している。

『鳥』でヒッチコックに見出されたヘドレンだったが、現場でヒッチコックからのセクハラ被害(強引にキスを迫られる等)にあっていたにも関わらず、よく『マーニー』の出演を決意したなあ。とは言え本作以降のヒッチコック作品への出演はない。

作中でもショーン・コネリーを冷たく拒絶し続けるティッピだが、その態度はヒッチコックに向けられたものをそのままフィルムに写したものだろう。次第にヒステリックになっていくティッピの姿は演技とは思えなくなってくる。

内容だが、精神医学が一般にも普及している現代において、この映画のトラウマの描き方はすこしお粗末に映るかもしれない。主人公が幼児性を発露するまでの過程をすっ飛ばしているせいで、彼女のじゃじゃ馬ぶりが二重人格者にしか見えない。そもそもトラウマの原因となる事件にインパクトのカケラもないのがちょっと・・・。

サスペンスの帝王にしてはサスペンス性に欠けるドラマ志向の話だったけど、ティッピを撮りたいだけだったのなら充分でしょう。