方眼

ミニヴァー夫人の方眼のレビュー・感想・評価

ミニヴァー夫人(1942年製作の映画)
4.2
1942年製作”Mrs.Miniver”。日本公開は1949年。戦意高揚映画。冒頭1939年から始まり、英国の田舎町に戦争の影が忍び寄る。前知識なしで観たので、「ダンケルク」が出てきて驚いた。お父さんが行った戦場はあそこだったんだ。船が傷ついている。婚約シーンやピアノレッスンなどの子供の使いかたがアクセントになっている。水面に反射する光を壁にあてたり、部屋のドアの影が動くことによって出入りを表現したり。教会での説教シーン、2回出てくるが、同じ構図で人物の不在を際立たせる。これ水面反射も含めて「東京物語」で小津安二郎監督がやっていた。調べると、小津は戦中に日本軍の戦意高揚映画を撮るためにフィリピンに行き、そこで接収したフォードやワイラーの映画を観たとのこと。同じ映画人として戦意高揚のテーマよりも、どう演出するかどういう絵作りをするかを勉強したのでは。その中にこれも含まれていたと思われる。演出としてはカットを細かく割らず、モンタージュもそこそこに、落ち着いて芝居を見せる方法。特に、アクションとアクションの間、またはその前後に無言の動きがあって、同一シーンで前後に移動させたりする。屋内でも階段を下から見たカットでの人物の動きが効果的。
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