ペジオ

ペネロピのペジオのレビュー・感想・評価

ペネロピ(2006年製作の映画)
4.3
人は見た目が9割…必然的に残り1割は見た目と違うという事だ

観るまでは「美女と野獣」の裏返し的な昔のディズニーっぽい「安易」なファンタジーを連想していた(実際そういうのを観ようと思って観たのだが。)
…とは言っても、おそらくそれは裏切られるのだろうと想定もしていた
「シュレック」とか、あるいは最近のディズニー的な「ありの~ままの~」多様性や女性の自立を肯定するような映画なんだろな~と
そういうのも大好きだけど…言ったら「古い王道の逆を行った」だけで、それはそれで「安易」だとも思うのだ
実際序盤までは約束された裏切りを期待して観てたし、メッセージ的にはそういう映画とも言えなくはないのだが…中盤のペネロピが家出するあたりから「ん?」という違和感を感じ出す
おそらくは「その間、運命の相手とほとんど(全く?)絡むことが無い」という語り口が「想定の範囲外」だったからだろうとは思う
「歪」とも言っていいその辺りの展開でペネロピのパパさんやピーター・ディングレイジ演じる記者のキャラクター達が意外な深みを出してくる(キャサリン・オハラ演じるママさんの意外な浅さもね。)
類似作品だったら「使用人」のキャラクターをもっと分かりやすく観客に愛されるコメディリリーフとして描きそうなものだが…この辺も「ちょっと」意外
その後の展開も「ちょっと予想外」で…この「ちょっと」って所でテーマに対してのアプローチの真摯さとセンスの良さを感じる

ラストで子供達がこのお話の「教訓」を当てるシーン
どの回答も…ペネロピ自身が認めた回答でさえ間違いだったんじゃないか?
「言葉で説明できてしまう」教訓を孕む「寓話」にしては、キャラクターの「類型化」が足りない気がする
かといって「リアル」であるとも言い難い
この世界の中で「意外」なこともする「リアリティ」あるキャラクター達が素晴らしく、見た目に反して「おとぎ話」で片付けられるほど単純でない映画内世界を成立させている(伏線回収も鮮やかでした。)

クリスティナ・リッチの現実感の無い不思議なビジュアルが世界観とマッチし過ぎ(豚鼻で「完成形」なんじゃないかと思えるフリークス的魅力)
小物に至るまでセンスの行き届いたビジュアルも良いが、俳優の配置も「画」としての収まりの良さを感じる(クリスティナ・リッチとリース・ウィザースプーンのツーショットとか何かバランスいいのよ。)

ジェームズ・マカヴォイを初めて見たのが『フィルス』だったので、こんなイケメンだったとは知らなんだ
序盤の楽器当てのシーンで「コイツはモテるわ」という確信を得た
ペジオ

ペジオ