ドルフィンキック

ヤング・マスター/師弟出馬のドルフィンキックのレビュー・感想・評価

3.9
本作で、ジャッキー・チェンが、「脱カンフー映画宣言」しただけあって、獅子舞合戦に、扇子、椅子、剣などの小道具や武器などの色々なアイテムを利用したバトル、激しい拳脚アクションなど盛り沢山な内容で、正に、カンフー映画の集大成とも言える豪華な作品。

主人公のジャッキー・チェン演じる、ドラゴンが、 道場から波紋された、兄弟子のタイガーを悪の道から救い出して、連れ戻そうと、色々と頑張るお話。

物語面に関しては、定番の仇討ものの復讐劇ではなくて、弟弟子が、兄弟子を、改心させて、連れ戻す。って言うお話で、当時としては、斬新なストーリーで、とても新鮮でした。

アクション面に関しては、多種多様なアクションが、繰り広げられて、実に、面白かったですね。
例えば、ジャッキー・チェンが、まるで、曲芸のように、大きな扇子をふわりと宙に浮かせて、手でキャッチしている合間に、打撃を見舞い、相手を威嚇したり、タイガーと間違われた、ジャッキー・チェンが、警官隊を相手に、まるで、ジャグリングのように、自由自在に剣を操り、大勢の相手を翻弄したり、ジャッキー・チェンVSユン・ピョウの椅子を駆使した、アクロバティック且つリズミカルなカンフーバトルも、最高!で、夢の対決も、ワクワクしながら、楽しませて頂きました♪
他にも、ジャッキー・チェンと警察署長とのキセルのやり取りに笑わせてもらったり、セミファイナルで、ジャッキー・チェンが、スカート姿でラスボスの仲間と闘う姿は、もう、「ジャッキー・チェンの世界にようこそ。」って言う感じで、ジャッキーワールド全開!の笑いやユーモア満載のカンフーバトルで、大満足でしたね♪

ただ、笑いも、アクションも満載で、総合的には、凄く好きな作品なんですが、ラストバトルは、殺陣が、粗かったですね。

せっかく、ラストバトル手前まで、型にはまった、「~拳」チックな華麗なアクションだったのに、突然、ラストバトルになると、密着戦や関節技やオーソドックスな足技中心の映画的には、やや地味なアクションになってしまった印象が、ありますね。(個人的な意見ですが。)

同じキッカー系の武打星でも、型にはまった、リズミカルな殺陣に順応出来ている、スーパーキッカー、黄正利やカサノバ・ウォンが、ラスボスを演じてくれていたなら、もっと、綺麗なカンフーバトルが、魅れたのにな~って、思いますね。

長丁場のカンフーバトルは大歓迎なのですが・・・。
この映画で、ラストのマラソンマッチと言われる、ジャッキー・チェンVSウォン・インシク戦は、評価が高いようですが、僕は、あまり合いませんでした。何故なら、ウォン・インシクは、本物の武術家で、技や動きが、ガチンコなので、「魅せる」動作が少なくて、映画的に、地味なオーソドックスな拳技や足技が多かったので、アクロバティックなアクションを得意とするジャッキーの動きと、あまり噛み合っていないような気がしました。

ジャッキー・チェン主演の「ヤングマスター」のラストバトル、ジャッキー・チェン主演の「ドラゴンロード」のラストバトル、ビリー・チョン主演の「カンフー風林火山」のラストバトル、どの殺陣も、似たり寄ったりで、粗くて、アクロバティックなアクションを得意としている、ジャッキー・チェンやビリー・チョンが、相手のガチなアクションに付き合わされている感じで、彼等の魅力であるアクロバティックな技や動きが、出せないままで、あまり良さが出ていなかったような感じがします。

とは言え、そこは、アクション映画界の大スター、ジャッキー・チェン、激しい拳脚アクションの合間に、連続跳ね起き、ワイヤーを使用して、遠くへ蹴り飛ばしてみたり、ヘッドバットでのぶっ飛びアクションのダイナミックな演出、香港スピン、水面蹴りを喰らって、跳ね起きで、起き上がり、怒涛の打撃ラッシュ、ジャッキー・チェンが、体を地面に叩きつけて、跳ね起きからのキングコングパンチで、気合を入れたり、連続サマーソルトドロップを炸裂したり、要所、要所で、映画的に見栄えの良い、大技を、散りばめて、殺陣にメリハリを付けてくれたので、結果的には、ハイレベルなカンフーバトルに仕上がり、正に、名勝負でしたね。

あと、ラストのジャッキー・チェンが、歌う「さすらいのカンフー」も、正に、名曲ですね♪