滝和也

ヤング・マスター/師弟出馬の滝和也のレビュー・感想・評価

3.5
拳シリーズからの
脱却を図るジャッキー
の監督作品。

〇〇拳ではなく、
クンフーの得物での
バリエーションと
根性で魅せる作品!

「ヤング・マスター/師弟出馬」

ジャッキーのゴールデンハーベスト社と組んでの第一弾作品であり、ジャッキー自身が監督。〇〇拳で一気に火がついたジャッキーブームの中、封切られた作品でクンフーの武芸としてのバリエーションの幅を魅せてくれる作品であり、コミカルさを更に強調した作品。

ストーリーは…はっきり言えば〇〇拳シリーズの方が型があっただけに良くできてましたかね…(笑)金に目が眩み、師匠を裏切り、悪の道に染まる兄弟子を弟弟子であるジャッキーが救おうとするのが本筋ですが…まぁいきあたりばったりな展開に…(笑)途中、兄弟子に間違われ警官に追われたり、ドタバタが続きます。

ただ…今作はバトルのバリエーションが多彩であり、そこが見どころ。獅子舞合戦からスタートし、演舞とバトルが組み合わさった獅子舞も見事。更に大扇子を使用した殺陣、小椅子使いとの戦いでの棒術、刀との切れそうな殺陣、そして長い布を利用し相手を幻惑するスカート殺法と練り込まれた殺陣のアイデアが素晴らしく、若きジャッキーの技術、体術が光ります。

特にスカート殺法は中々理に叶っていて面白い。布で幻惑しながら、出どころがわからない蹴りが無数に飛んでくる。2対1での戦いになるのですが、素晴らしい殺陣でした。

クンフー映画故の定番のラストバトルもかなり壮絶。長い長い…20分超えてたかなと。しかもこんなにヤラれてるジャッキーは見たことない。虎の蹴りと呼ばれる最後の敵は強敵中の強敵でしたね。

でも…これやられ過ぎだし、勝つ方法がそれって(笑)…。根性とドーピングかい(笑)コミカルさが前に出過ぎてますよね…。ロッキーじゃないんだから…。

この作品で単なるクンフー映画からの卒業を話したジャッキー。この後のハリウッド進出のバトルクリークブロー、キャノンボール、ドラゴンロードを経てプロジェクトAでスタントアクション、コメディ、クンフーの融合に成功し新たな型が出来上がる訳です。そこから見るとまだまだ荒削りなストーリーであり、クンフーの可能性を広げ、後の作品につなげていると考えれば意味がある作品です。今作とドラゴンロードはなんか試作品の匂い、ジャッキーが新たな型を創り出すための作品だった気がします。ハリウッドでの2作品もその中に融合しているはずですね。

ジャッキー好きな方には意味があり、試行錯誤していたジャッキーが垣間見える作品ではないでしょうか…。
滝和也

滝和也