みおこし

キャメロットのみおこしのレビュー・感想・評価

キャメロット(1967年製作の映画)
3.7
『ハリー・ポッター』シリーズの初代ダンブルドア校長役でもおなじみ、リチャード・ハリスがアーサー王に扮した名作ミュージカルの映画化。グウィネヴィア役にヴァネッサ・レッドグレーヴ、ランスロット役にフランコ・ネロ(ジャンゴ!!)と豪華な布陣。『キャメロット』のタイトル自体は聞いたことがあったのですが、ミュージカルと知らなかったので、ハリスさまが歌いだしたときはびっくりしてしまいました(笑)。ミュージカルの全盛の時代が終わりつつあった1960年代後半に制作された、インターミッションありの超豪華絢爛ミュージカルとなっています。

キャメロット王国で王妃グウィネヴィアと運命的な出会いを果たし結婚したアーサー王だったが、”円卓の騎士”であり彼の忠実な部下だったランスロットがグウィネヴィアと不倫の恋に走っていることを思いがけず知ることになり…。

表題曲の”キャメロット”は劇中で何度も歌われるので覚えましたが、それ以外の楽曲は難しい旋律(オペラ風?)が多くて、あまり印象に残らず…。どちらかというと波乱に満ちたアーサー王、グウィネヴィア、ランスロットによる三角関係を中心にしたスペクタクル・ドラマとして見ごたえある作品でした。
観終わった後の端的な感想としては、とにかくグウィネヴィアが身勝手すぎ、という点…!(笑)アーサーもランスロットもそれぞれ魅力にあふれた素敵な人物なのは分かるのですが、両方を手に入れようと中途半端な態度を取り続けた結果、王国を巻き込んだ大変な騒動に繋がるわけで…。あまり悪びれている素振りのない彼女に全くと言っても過言ではないほど共感できず、腑に落ちなかったです。激情的な愛はこうも人をも国も狂わせるのですね…。グウィネヴィアが自分の美しさを理解しているのが良く分かる、ヴァネッサ・レッドグレーヴの憎たらしい演技がまた良かったです(笑)。
威厳あふれる王でありながら実は心に迷いを抱えたアーサー王。ランスロットと妻の不貞を知りながらも耐え続けて心を病んでいく姿を見ているととにかく気の毒で、他の映画で見るような強いアーサー王のイメージと全く違って新鮮に感じました。今まで観てきた映画と比べてもリチャード・ハリスは特にアーサー王のイメージにぴったりな印象。
素晴らしい騎士ながらも主君を裏切ることになるランスロット。端正な顔立ちのフランコ・ネロの好演が光る一方で、不倫していてもあまり悪びれるそぶりがなかったのでこれまた共感できず(笑)。とにかく最初から最後までアーサー王が不憫でならない映画でした…。

でも、断片的ながらもアーサー王の逸話も要所要所できちんと語られるので、背景知識がなくとも非常に分かりやすく観ることができた作品でした。きっと円卓の騎士の物語は様々なパターンがあるだろうから一概にこれが正しいとは言えないと思いますが、どちらかというとみんながよく知っているような王道のアーサー王伝説のイメージをなぞっている印象。
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