イチロヲ

八月の濡れた砂のイチロヲのレビュー・感想・評価

八月の濡れた砂(1971年製作の映画)
3.5
放蕩を続けている男子高校生が、強姦被害者の少女を介抱しながら、人生の意味を模索していく。夏の湘南を舞台に、シラケ世代の日常を綴っている青春映画。「不良少女 魔子」(蔵原惟二監督)との併映により、ロマンポルノ移行前の最終作となる。

学生運動が終息した後の「生きる目的を失った若者像」がリアルに描写されている作品。「かつて日本にこういう時代があった」という時事性を考慮しながら鑑賞すると、感慨深いものがある。

何よりも、主人公の高校生が、ずっと童貞のままというところが良い。大人(=体制側)に対する義憤と性に対する興味を抱きながら、それらの不文律に片足を突っ込もうとするのだが、ものの見事に玉砕してしまう。

筆者は海水と砂浜の映像に拒絶反応が出てしまう性分のため、真夏の湘南を収めている映像は、(資料的価値はあるかも知れないが)かなりツライものがある。一方、石川セリの気だるい主題歌はベスト級。
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