<概説>
少年少女は戦争で失った家族達の墓を作っていく。彼等が寂しがらぬよう、数多の動物達の亡骸と十字架を添えて。そして十字架の群が墓場を満たした時、二人には新しい別離が訪れる。
<感想>
本作は反戦映画というくくりらしいです。
らしいというのは私がそうは思えなかったからで、むしろ「なぜ戦争は起きるのか」を説明している作品に見えました。
ひたすら願望を提示する少女は国民を、
その願望で暴力を正当化する少年は政府を、
そしてその暴力を暴力で否定する大人は敵国を、
それぞれが戦争に必要な諸要素をミクロな形式で体現し、「こんな小さな関係性ですら戦争はなくならんのだから、国家戦争がなくなるわけなかろ」と。
仮に少年少女が軍国主義に洗脳された大人によって虐待されたなら、それはきっと露骨に反戦映画でした。しかし理不尽が彼等を素通りして消えていくものですから、反戦どころか因果応報と思ってしまう始末。
そんなわけで無理に「ポーレット可哀想!」と感じるよりは、全体の醜悪さを感受すべきな気がします。
原作を具に読んだなら、また別な感想もありそうですが。