わきお

禁じられた遊びのわきおのレビュー・感想・評価

禁じられた遊び(1952年製作の映画)
3.8
無垢な瞳に写る人の愚かさと、死

第二次大戦中のフランス。ドイツ軍の侵攻によりパリから逃れてきた少女ポーレットとその両親。逃避行の最中、ドイツ軍の強襲にあい、娘を庇った両親は命を落としてしまう。独りぼっちになったポーレットは愛犬の亡骸を胸に抱えながら彷徨う中で、農家の息子ミシェルに出会う。ミシェルの家族に迎えられるポーレット。死についてよく分かっていないポーレットはミシェルから死んだ者のためにお墓を作るものだと教わる。離れの水車小屋に愛犬の亡骸を埋葬した後、愛犬が寂しがらないように周りにもお墓を作りたいとポーレットはミシェルにお願いをするのであった…
というお話。

半ば死の印象を強く意識付けられた子供たちが取った行動、もちろんそれは倫理的に逸脱したものであるが、それを招いたのは紛れもなく大人たちの責任である。死を理解するにはあまりに幼すぎる。
それでも尚いさかいが絶えない大人たちの醜い姿と子供たちの姿との対比はやるせない。大人同士の争いの犠牲になるのは、いつも子供や弱い者である。

それを皆知りながら世界は何年もその状況を変えるに至っていない。残念ながらこの先もこの作品はメッセージを発信し続ける役目を担うことになるでしょう。

ラストシーンは今も世界のどこかで起きている多くの悲劇のうちの氷山の一角であると思うと心が痛い。
わきお

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