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17歳の処方箋のGreenTのレビュー・感想・評価

17歳の処方箋(2002年製作の映画)
3.0
ニューヨークの"オールド・マネー"、いわゆる遺産相続で裕福な特権階級の白人社会に嫌気がさしている17歳のイグビー(キーラン・カルキン)は、高圧的な母親のミミ(スーザン・サランドン)に反抗的で、何校も学校を退学になったり、士官学校に放り込まれたりしている。

父親が精神病を患って奇行に走ったりするところを目撃してきているので、自分もこんな抑圧的なところにいたらああなっちゃう!という恐怖があるように見受けられます。

ちなみに、キーラン・カルキンは『ホーム・アローン』のマコーレーの弟、『ロード・オブ・カオス』のロリー・カルキンのお兄さんで、10歳の頃のイグビーは、ロリー・カルキンが演じています。

イグビーは、家出を繰り返し、最終的に名付け親のDHというおじさんを頼ってニューヨークに上京し、地元のアーティストたちと知り合いになり、ロスト・バージンし、ドラッグディーラーになったり、まあいわゆる成長物語的な?

この映画でキーラン・カルキンは注目されたらしいんですけど、お話としてはちょっとガチャガチャした感じで何が言いたいんだかわからないのですが、途中、イグビーのガールフレンドだったスーキーが、実はイグビーの兄オリヴァー(ライアン・フィリップ)と付き合ってたと知った時の演技がなかなかグッと来ます。

イグビーはスーキーに、オリヴァーは、ハイソサエティに染まっているから、君のことなんかゴミのように捨てて、アッパークラスの女と平気で結婚する様な男だと言うんですけど、そういう社会で暮らしていたくないという気持ちが良く伝わって来ました。

この兄のオリバーを演じるのがライアン・フィリップで、この人すっごい女の子に人気あったと記憶しているのですが、私は全くこの人の出ている映画観た記憶がなくって、「ああ、こんな可愛い子だったんだ」と思いました。できのいい兄と、ダメダメな弟って感じで、ライアン・フィリップがお母さんに忠実な、「一家の優秀な長男」に描かれています。

奇遇にも昨日『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』でやはりニューヨークのアッパークラスの男の子の話を観たばかりだったので、比較として面白かったです。やっぱり最近の若者は悟っているというか、ハイソサエティの母親に反抗はするが、恩恵は受けつつ安穏と暮らしている。昔はイグビーのように、本当に縁を切られても、みたいな「反骨精神」が称賛されたけど。

主にブリティッシュ系の90sオルタナ・バンドの楽曲を使っていて、青春モノ〜!!みたいな感じなのですが、そんなに鼻につくほどでもないので、音楽好きな人は楽しめる映画かもしれません。
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