みーちゃん

2001年宇宙の旅のみーちゃんのレビュー・感想・評価

2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)
5.0
最近、目の前の事ばかりに追われている気がして、日常とかけ離れた視座の高い作品が観たくなり、久々に観賞。
難しく考えず、相手に答えを求めず、スタンリー・キューブリック監督の世界をリラックスして体験することができた。

驚いたのはオープニングを観た時の自分の反応。これまで何度も見聞きしているはずなのに、映像と音楽が完全に合致したあの瞬間、自然に涙が流れてきた。何かの発明に立ち会ったかのような感動に包まれ、やはり今、私はこれが観たかったのだ!と確信した。

どこを切り取っても全てのカットが完璧で、一コマ一コマがまるで写真集のように美しく成り立つ。"画の力"以前に、これを体現した技術と才能に驚愕する。

そして、どの章も、それぞれ単体でも完成していると同時に、章と章の連結が最高にかっこいい。一切の無駄を排除しながら深い意味を込めた場面転換に、観客として、つい前のめりになってしまう。

未来を予言する光景やテクノロジーの描写とは反対に、音楽や衣装、室内装飾やカトラリーなどは奇をてらわず、クラシックなアイテムを選択したセンスにも脱帽。最後のベッドルームでボーマン船長が身に纏っていた濃紺のロングガウンのデザインも、1ミリも隙がなく、痺れる。

作品全体やラストから伝わるメッセージが、ポジティブでありながら、警告のように感じるところも好き。