140字プロレス鶴見辰吾ジラ

2001年宇宙の旅の140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)
5.0
”夜明けを告げる”

皆様、明けましておめでとうございます!
2018年最初のレビューは
スタンリー・キューブリック監督の
「2001年 宇宙の旅」です。

”神の映画”

今まで、「難解」「退屈」という偏差値70レベルの授業に挑戦する気分で、中々見る気持ちになれなかった映画でしたが、様々な映画を見た上で「2001年 宇宙の旅」を体験して、この作品自体が劇中に登場する”モノリス”の役割を担っていたことを時を超えて存在していたことを思い知らされたわけです。CG技術のなかった時代に工夫と手間をかけて作り上げた衝撃的な映像美と今を生きる我々にとっても身近なギミックが生まれていた感激と、そして何よりこの映画が生み出した映画DNAの捻じれが現代の傑作SF作品の種となって育っていたことは、歴史とともにこの映画自体を”神”のような存在であることと実感したわけです。クリストファー・ノーラン監督が「インセプション」「インターステラー」で散々オマージュしたあげくですが、キューブリックが宇宙の果てに夢見た”神”の存在が、我々人類がいきつくであろう進化の先にあるものだと、そしてそれは人類と機械の戦争の先であったり、飽くなき探求の先であったり、神がテクノロジーによって殺された先の世界であったり…

人類が超新星爆発のガスからガスの塊をなり、重力によって結びつき、惑星を形成し、山や海や森を作り、そして生き物が生まれ、肉体を手に入れ、進化するために争い、道具を手に入れ、知恵を手に入れ、武器を手に入れ、死をコントロールする術を手に入れ、惑星を出ることを許され、肉体から魂を解放する先に手に入れる”新たな姿”を不協和音や恐ろしい光の先に”魂”→”ゴースト(幽霊)”→”神”へと最終的な形態進化を遂げることを信じさせてくれる神々しき観念を映画という体験へはめ込んでくれたことが衝撃であり、喜びでありました。

多くのフォロワーたちがキューブリックの残したモノリスに触れて映画という媒体で進化する様を現代視点で味わえるという観測者的喜びも含め、衝撃作として相応しい映画体験でした。


追記)
無論今作を見る前後に評論家様方の映像見聞を見て勉強しました。教養の情報量が多く、学びの多幸感を得られたのは何より嬉しかったです。

その中で、2017年個人的ベストアニメの「メイドインアビス」は「2001年宇宙の旅」から続編である「2010宇宙の旅」のファンタジー世界に置き換えたものではないかと悶々と考えることとなりました。「メイドインアビス」見てる人ったどれくらいいますかね?ただの思い過ごしなのか、モノリスの仕業なのかを2期を楽しみに待ちながら悶々としてます。