カツマ

2001年宇宙の旅のカツマのレビュー・感想・評価

2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)
3.6
残念ながら人類はスタンリー・キューブリックの創造した未来に追いつくことは出来なかった。2001年当時、まだ宇宙は遥か遠く彼方に感じられたし、それは2018年の今もそう変わっているものではない。
全体的なストーリーは特に説明も無く、まるで物語そのものはこの映画の主役では無いと言っているかのよう。では主役とは何か。それはそう、おごそかなクラシック音楽に乗せて神々しく横たわる果てしなき宇宙空間。宇宙の旅をリアルに体感することこそがこの映画の醍醐味かと思われた。キューブリックは2001年を前に他界したが、彼の生んだ宇宙は今も我々の想像する宇宙にピッタリと合致している。

人類の夜明けは猿人たちの抗争から始まった。猿人たちの1人が謎の物体から得た力は武器を手にする知恵だったのだ。武器を持った猿人は他の猿人を打ち殺し、喜びのあまり骨を宙へと放った。
膨大で果てしない時間が流れ、ときは人類が月に住むほどのテクノロジーを獲得した時代。フロイド博士は月のクレーターで発見された謎の物体の調査のため月面基地へと到達。直ちに調査に入った。その物体とは遥か昔猿人に武器を与えた謎の物体と同じものだったのだ。
そして舞台は木星探査チームのエピソードへ。宇宙船ディスカバリー内で船長のボーマンと人工知能HALとの取り止めのない会話が、次第に不穏に包まれ、そして事件は起きてしまい・・。

ストーリーは謎の物体を軸にした人類の進化の過程を描いており、非常に難解かつ大胆。だが、それらを気にならなくさせるほどに、宇宙映画をCG無しで突破したキューブリックの創造力溢れるマジックにも似たカメラワークは、時代を超越した風化しない革新性を未だに保ち続けている。

人類が宇宙で生活するのが当たり前のことになれば、宇宙映画はSF映画というカテゴリから外れる日が来るであろう。だが、まだキューブリックが1968年に描いた夢は継続中であり、SF映画は人類のテクノロジーの進化をより創造的にすべく邁進を続けている。そのスタートの号砲を鳴らしたのがこの『2001年宇宙の旅』なのだ。
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