この映画が本当に言いたいのは、ヒトの奥深くに潜む「いまのままがいい」という現状維持思考へ楔を打つことなのではないか。たとえが飛躍するが、例えば「ウニ」を最初に食べた人はあれを食材だと思っていないだろう。誰かが食べて美味しいと感じたからいまのウニがある。
対して、AIは常に経験しか語らない。経験以上のことを機械が創造することはない。(と思いたい。)
そういう意味で、ヒトの中に潜む保守的な思想、慣習や前例主義から逸脱できない臆病な世の中(例えばメディアとか)を真っ向から否定することがこの映画の真の価値なのではなかろうか?
「ドナルド・トランプはひどい奴だ!」
と誰もが思う。(私もそう思います。)しかし彼の言うことがもしかすると”常識”になるかもしれない。記憶の片隅から消えかかっているが、トランプが大統領になって、世界のあちこちで「〇〇のトランプ」(例えばフィリピンとかブラジル)が生まれたではないか。
この映画は常識を打ち破る映画であり、それは人間の深層心理に潜んでいる”悪”だ、とも言っているような気がする。
ついでに言うと、トランプが推し進めてきた保守主義やポピュリズムの行く末がcovid19だとしたらどうだろう。世界が壁を作り守りの姿勢に入った途端、このウィルスが世界に蔓延したという皮肉。この映画が語る歴史に重ねてみることはできないか?
(すいません勝手な解釈です。)