アキラナウェイ

キッズ・オールライトのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

キッズ・オールライト(2010年製作の映画)
3.3
ちょっと変わった家族の形。
2人のママに2人のキッズ。
そして、そこに現れた精子提供者、"生物学上の"父親。

同性カップルのニック(アネット・ベニング)とジュールズ(ジュリアン・ムーア)に育てられた18歳の姉ジョニ(ミア・ワシコウスカ)と15歳の弟レイザー(ジョシュ・ハッチャーソン)。子ども達が精子バンクの提供者であるポール(マーク・ラファロ)に会いに行った事で、家族の歯車が少しずつ軋み狂い出す。

ちょっと変わったと書き出したものの、実は普通の夫婦、家族と何ら変わらない。

医師で完璧主義者なニックは典型的な男性と同様、パートナーを無意識のうちに支配しているし、反面経済的格差から「認められたい」という自己承認欲求が強いジュールズ。そのジュールズの心の隙間を埋める様に現れた魅力的な男性ポール。このあたりの描写が妙に生々しい。

惹かれ合うジュールズとポールをリアルに描き、浮気に気付いた時のニックの呆然とした演技と周りの声が聴こえなくなる演出が素晴らしい。

結婚も離婚も一度もナシの自由人をマーク・ラファロが魅力的に演じ、透明感のあるミワ・ワシコウスカは大人と子どもの狭間で揺れる18歳の心の揺らぎを見事に演じている。

テーマは興味深いし、キャスティングも最高!家族が再び一つになっていくラストもある一定の感動まで導いてくれるが、気になったのはポールの扱われ方。

ニックはポールを「侵入者」と批判する。
愛するパートナーの浮気相手だから、わからなくはない。しかし、彼がいなければ愛する子ども達は絶対に産まれなかった訳だし、そもそもの感謝やリスペクトがポールに対して欠けている。自分達は精子バンクを利用した側の人間で、ポールが現れると(子ども達からコンタクトを取ったのにも関わらず)煙たがるのは自分勝手過ぎやしないだろうか。

結果、弾き出される様にしてフレームアウトしていくポール。

いや、子ども達が父親に会いたがるのは自然な事だし、当然の権利の筈。ポールの問題だけが何も解決していない。

また主に大人達の問題だけが取り沙汰されているけれど、子ども達の描写は正直物足りない。The Kids Are All Rightというタイトルを掲げているのに…。

間違いなくサラリと楽しめる作品ではある。

それでもサラリと流しちゃいけないものがそこにはまだある気がして、描き切れていない、消化不良な後味が残念。