KnightsofOdessa

バシュフル盆地のブロンド美人のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

4.5
[なんでもかんでも銃でスッキリ解決!] 90点

大傑作。多数の狂人がやりたい放題やるIQ3くらいの西部劇ながら、プレストン・スタージェスは拳銃を"人を殺す道具"であるとか"力の象徴"みたいな重苦しいものとしてではなく"なんか固体が勢いよく出てくるやつ"くらいに捉えているのか、銃の使い方やら銃撃戦やらが異常な方向に振り切れてて超絶楽しい。そもそも銃の英才教育を受けたせいで銃使用へのハードルがバグった酒場歌手が主人公なので、喧嘩の仲裁やら好色な恋人へのお仕置きやら気に入らない生徒(見るからにバカっぽい兄弟)への脅しやらでスッと銃を出してバカスカ撃って"解決"しちゃうパワフルさに惚れる。映画なんだからこれくらい倫理観が欠けてる方がむしろ面白い。ラストの銃撃戦はモノクロ時代と同じくスラップスティック的な天丼展開で最高。ラストのラストまで粘るスタージェスらしく、最後までチョコたっぷり仕様。お腹いっぱいです。

撃ち合いが"適当"に描かれている西部劇といえば『レモネード・ジョー』が思い浮かぶが、本作品は誰がどこに向って撃ったかという事実以外は重要な情報でないので、撃ち合いで対面している人と人の空間が消え失せているという点で異なる。判事のケツを何回も撃った主人公を含めて、あんだけ人がいてまあまあな数の発砲があったのにのに誰一人として死なない極めて平和な映画。
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