継

用心棒の継のレビュー・感想・評価

用心棒(1961年製作の映画)
5.0
望遠レンズを駆使した撮影や, 今作が元祖という刀の斬殺音をはじめ, 奇抜なアイデアは枚挙にいとまがありません。
手首を咥(くわ)えて走り去る野良犬は宿場町の荒廃ぶりを一発で伝え,
拳銃使いの卯之吉(仲代達矢)には, 着流し姿に本来なら不釣り合いなハズのタータンチェックのマフラーを合わせてニヒルで異様な存在感を際立たせる。

風に舞う落ち葉🍃目掛けて小刀を投げ刺す,何気ない暇潰しの様なシーンが実は…😳! という驚き。
“博奕打ちになる”と冒頭で家を飛び出した百姓の息子を, 大きな円環を描いた後に親元へ帰して文字通り丸く収める, 周到なストーリーテリング。

兎に角、
対立する二派を弄んで悠々と高みの見物を決め込む三十郎(三船敏郎)の立ち居振る舞いが楽しいのです。
何処か憎めないキャラの亥之吉や山田五十鈴が怪演する性悪女将“おりん”をはじめ生き生きと描かれる悪人どもとの臨機応変な駆け引きや殺陣(たて)は勿論見せ場ではあるんだけれど,
虐げられる町人達を放っておけず危険を承知で情けをかける心優しさや, 分かれ道で枝を放り投げて行く道を決めたり(ジャームッシュも似たシーン撮ってましたね), 役目を果たしたと思えば “あばよ” と去っていく風来坊ぶりが人物造形をより深いものにしているように思えるのです。

たっぷり墨汁を吸わせた毛筆を紙へ落として伸び伸びと筆先を走らすような,そんなイメージの映画。三船敏郎演じる桑畑三十郎という魅力溢れるキャラクターを持ってして理屈抜きに映画の面白さを観せてくれる作品です(^^)。
継