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用心棒のrollinのレビュー・感想・評価

用心棒(1961年製作の映画)
4.6
AKIRAの手にかかれば、棒切れ一本で桑畑三十郎(もうすぐ四十郎)の人となりを演出してしまう。

風の音。
戸の開く音。
わんコロは「Adios Amigo!」とでも言いたげに切り落とされた手を咥えて走る。
宿場の人々はドラクエのように己や町の近況を自白するのだけれども、それは全く説明的ではなく、気風の良い噺家のようなフロウでアクションを連携させていく。

拍子木。
芸妓の囃子ビート。

日本家屋の“枠”を取り入れたフレーミングと、最小限の動きで劇的な効果を生むカメラワーク。望遠による圧縮は近景の物語と遠景の風情を汲み取り、画面に充満するエネルギーは丁度で挿し入る広角で解放される。つまりこれは漫画のコマ割りと一緒。
テンポが良いのは編集や脚本、芝居に拠るものだけではなく、映像設計が相乗しておるのでがんす。

間合い。
これは西部劇の間合い。
回転式拳銃同士の決斗に於ける必殺の結界。暁に死せる野獣、エル=フェゴーこと仲代達矢のさらに後ろ、砂埃の向こうに立ちはだかるジョン・フォード監督への挑戦。
すっかり呆けた多左衛門が叩く団扇太鼓と、その引導を引き受ける卯之助。ここは紛れもなく地獄。


ダシール・ハメットの『血の収穫』と『マルタの鷹』を読みました。
リアル開拓時代に始まったピンカートン探偵社出身のハメット。そして非情で利己的なおれ、ハードボイルドの系譜が、三船敏郎からイーストウッド、サム・スペードの現行進化形であるホアキン・フェニックスにまで引き継がれてきた歴史の感慨に触れ、非常に有意義な経験となりました。

Once Upon a Time in the East.
『レッド・サン』が製作される10年前の物語。



そして遠くイタリアはアレッキーノ座で、同級生とこの映画を観ていた男がいた。三十郎が羅生門綱五郎に打ち倒され、その髷が乱れたとき、既にマカロニウエスタンは生まれる宿命にあったのだ!!
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