Tig

ゾディアックのTigのネタバレレビュー・内容・結末

ゾディアック(2006年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

正月に観る映画としてはどうか…と思ったのですが、前から観てみたかったフィンチャーのゾディアックを鑑賞。

フィンチャー✖︎未解決のゾディアック事件なので見終わった後の気分はどうせモヤモヤするだろうと覚悟していたのですが、セブンのような後味の悪い感じではなくストーリー上どうしても紐解けない点があったが為にモヤモヤが発生。これは自分の理解力不足かなと諦観していますが…それは後述するとして。

いや〜しかしゾディアックというタイトルに完全に騙されました。ゾディアックそのものを追求するサスペンスというより、それを追う男達の人間ドラマだったとは。事件を追いかけていく中で時系列と共に一人、また一人とゾディアックから手を引いていくのですが、そんな中執拗に事件の本質に近づかんとする漫画家グレイスミスの物語として本作は秀逸な出来だと思います。

作品全体の構成に関しては長い長いと聞かされていたのですが、確かに長いです。
でもこれは犯人を追いかけて疲れ果てた男達の心情を観客にトレースさせる為のフィンチャーの手法との事。なるほど。自己中だなあと思いつつも納得。

展開が淡々としている&未解決事件なのでカタルシスを思いっきり得たい方や完全なる解を得たい方には向かないと思いますが、ゾディアック事件に関わりを持っていく男達→グレイスミス(ジェイク・ギレンホール)、敏腕記者ポール・エイブリー(RDJ)、トースキー刑事(マーク・ラファロ)。彼らが情熱を傾けた先に待ち受けている明暗、各々の人生に加えて、「人生なんでも知ればいいってもんじゃない、折り合いつけないといけない事もある」というメッセージ(実際にこの事件をリアルタイムで体感し、のめり込んだフィンチャーの自分なりのケジメともとれますが)を映画に内包させたフィンチャーってやっぱり非凡だなあと素人ながらに思いました。

俳優の個々の演技も見応えがありました。特に序盤は凡庸な若者という感じでRDJに喰われ気味だったギレンホールが最後は狂ってるんじゃないかって位に執念を燃やしていく過程で顔付きまでどんどん○チガイ地味ていくのは圧巻。

また時代を感じさせるディテールのこだわり、特にエイブリーの自宅のアタリ?らしきTVゲームはとても印象的。

モヤモヤの要因
未解決事件なのですが本命の犯人に関しては明確なサジェスチョンがありますので、そこはわかるんです。未読ですがグレイスミスの原作に基づいた説を忠実に(偏執的なまでに…)再現しているんだと思います。
ただ劇中のボブ・ヴォーンの取り扱いだけがどうしても消化不良…共犯なのか?単なる容疑者の知人の一人なのか…この地域で地下室を持っている人間は少ないという伏線があったので、グレイスミスが訪れた際のあの地下室のシークエンスはマジで怖かったのですが…結局よくわからないまま…共犯という事を示唆していたのかな?とそこだけがモヤモヤします。まあ実際真相なんてわかるはずないんですけど、作中ではどういう事を示唆していたのか知りたい欲求に駆られます…