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ゾディアックの教授のレビュー・感想・評価

ゾディアック(2006年製作の映画)
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1960年代後半から1970年代前半くらいまでのアメリカの時代性とか空気感をフェチ的に再現する。
芸達者な俳優たちに落ち着いた演技をさせる。
落ち着いたカメラワークとお洒落なテロップ出し。
だが、全体的に、地味。

で、結局のところ「誰?」という見えない真犯人「ゾディアック」。
この映画は何が言いたかったのか?
恐らく何も言いたいことなどないのだと思う。

ただ徹底したリアル志向の映像と「ドキュメントタッチ」な物語映像に、姿の見えない犯人によって変化していく人間たち。

天才肌でイケイケだったロバート・ダウニーJr.はヤク中でドロップアウト。逆に気弱で事なかれ主義っぽかったジェイク・ギレンホールは家族そっちのけで事件に夢中になり、コツコツと捜査を積み上げていったマーク・ラファロは現実に翻弄され諦めたり諦めきれなかったり。

とにかく不気味に姿を現さない敵への妄想だけでこの資金とテクノロジーを駆使した大作は地味に始まり地味に終わる。
しかも長い。

だってそういうもんじゃないか?

というニヒリズムを、浮き上らせる。
ちっとも盛り上がらないが、楽しくないわけではない。だって映画だから、という時間を胸糞悪くまた、贅沢に過ごすための作品。
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