April01

ザ・ファーム/法律事務所のApril01のレビュー・感想・評価

ザ・ファーム/法律事務所(1993年製作の映画)
3.4
躍動感あるアクションをスピーディな展開の中に盛り込み、トム・クルーズが主人公を演じることで、司法の矛盾を描くサスペンスなクライム・ムービーが体育会系なノリとマッチして見えるところが面白い。
妻役のジーン・トリプルホーンは直前のデビュー作「氷の微笑」での役とは打って変わって、若く瑞々しいイノセントな雰囲気が出ていて家庭的な魅力がある一方、、渋いジーン・ハックマンとの後半のやり取りはハラハラ感も加わって見ごたえがある。ジーン・ハックマンの唐突なアプローチが見ようによっては勘違いセクハラおじさんとも言える感じだっただけに、その後の展開が余計に意外な切なさにつながる効果を高めている。癖のあるFBI捜査官をエド・ハリスが好演。

トム・クルーズ演じるミッチが出張先で過ちを犯す件、それを妻が責めて怒るくだりは、この作品で描かれるもっと大きな問題に比べれば他愛もないことだし、浮気という言葉を使っているけど、あれって浮気かな?行きずりの遊びでしょ!ていうかハメられるにしても単純すぎてよくやるよ、元気だねとしか思えなくて・・とちょっと呆れる。そのへんに主人公の若さとウブな感じが出ていて、終盤の狡猾にも見える強さと対比され、この事件を通じてあっと言う間に精神的に逞しくなった感じがわかりやすい。
就活で提示される金と待遇に惹かれて就職先を決める点は、彼の裕福でない恵まれない生い立ちと家族の事で引け目に感じる負のバックグラウンドがあることが次第に見えてくる描き方も良い。
April01

April01