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糧なき土地のmareのレビュー・感想・評価

糧なき土地(1932年製作の映画)
3.5
シュールレアリズムから脱却したブニュエルの3作目はスペインの山岳地帯の小さな村で過酷な生活を強いられる人々のドキュメンタリー映画。30分にも満たないが季節を通して村人の生活、周りの自然環境に左右される食糧事情、病弱な者は理由なく淘汰され生き延びるために生きることの重みがのしかかる。愛国心批判だと多くの罵声をブニュエルは浴びたようだが、表沙汰にはならない見えない先進国の裏側の現状を炙り出した貴重な資料映像であり残酷な演出もありつつ問題定義している。ラストに老婆が「起きろ、死の天使が来る」と呟く。今日という日すら満足に生きていける保証はどこにもない。
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