和田誠さんつながりで初鑑賞。
敗戦直後の東京で賭博に生きる男たちの非情な世界を描く阿佐田哲也原作の映画化で、全体に淡々とした緊張感が素晴らしかった。
プロの賭博士として生きる男たちがイカサマで稼ぐ様子を見せていくくだりに目がくぎ付けになって、特に高品格と真田広之が組んでいくあたりの緊迫感がすごい。そして最後の最後には男同士の真剣勝負に収斂していくっていう流れが上手かった。賭けの対象となる家の権利書が男たちの間を行ったり来たりするギャグも面白い。非情な世界の中に２組の男女を登場させて、結ばれない恋と離れられない恋を対照的に描いてたね。
麻雀シーンのカメラワークが素晴らしくて、中でもすごいのが最初の方で加賀まりこが真田広之にイカサマの仕込みを教えるところ。おもむろに牌を並べて一つおきに裏返すと役が出来上がってるという流れをワンカットで撮ってて、いったいどうやってるんだろう？って驚いちゃった。
原作は未読だけど、阿佐田哲也といえば色川武大としての著作はいろいろ読んで、自己の体験からくる独特な文章が忘れられない。
