MondayAddams

スルースのMondayAddamsのレビュー・感想・評価

スルース(2007年製作の映画)
4.5
何が好きか、と言われると説明が難しいのだが、とにかく好きな映画。
現代的であり、古典的でもある、不思議な世界観。
終始キーンと冷えて、糸が張り詰めたような、緊張感のある影像。
まるで氷みたいな。物語が進むうちに、どろどろと氷は溶けていく、溶けきるかと思ったところで、ピキッと割れてしまう。
そんなところがすごく好き。

大学のフランス映画の講義で「世の中には、物語を美しく撮る監督、女性を美しく撮る監督、男性を美しく撮る監督がいる、それ以外は駄作を撮る監督だ」と教わったけども、これは間違いなく男性の美しさを描き切った作品。
主演の二人がとにかく美しい。
あまりに美しいので、二人の男たちは、一人の女を巡って「ゲーム」をはじめたことをすっかり忘れてしまう。
最後に映る”彼女”の美しいシルエットで、観客は当初の目的を思い出すけれど、彼らの氷を溶かす熱は最早”彼女”のほうを向いていない。
”彼女”の存在が一切省かれたまま物語が進むところがいい。
これが同性愛の映画とは思わないけども、愛よりも深くて激しいものがある。
本当に美しい映画。大好き。
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