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ゴジラVSスペースゴジラの教授のレビュー・感想・評価

ゴジラVSスペースゴジラ(1994年製作の映画)
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どうしようもない緩さと意味不明さが際立ってしまっていた前作「メカゴジラ」と同じように相変わらず意味不明な展開が続くので、同程度につまらないと思いつつも、嫌いとは言い難い作品。

良くも悪くも、そもそもが荒唐無稽なSF怪獣映画に過ぎない…という割り切りと振り切りをもって前作よりもギラリと光る点がいくつかある。

まず冒頭のバース島における「人VSゴジラ」の近接戦闘。柄本明演じる結城の、一匹狼な感じ、何より叩き上げであることを感じさせる風体の見事さ。
そこに何故か今回、ようやく主役級に躍り出た三枝未希と橋爪淳演じる新城というミリタリー野郎。これまで「男っ気」のなかった未希の、あまりにもささやか過ぎる恋物語も、シリーズを追いかけてきた側からすれば感涙。ささやかさも含めて未希らしさがあり「ゴジラ」に対しての心境の変化から、より現実世界では拗らせている様子もなかなかに良い。

そして、結城、未希、そして斉藤洋介演じる大久保の三つ巴で「ゴジラに執着して狂わされる人々たちの物語」であることが根幹になっていて、その部分は面白いと思える。

ただ魅力は単に断片的で、一本の映画としてのカタルシスに乏しい。展開は唐突であることもそうだが、何より前作で人類側の兵器が「メカゴジラ」であったことと比較してまさかの「モゲラ」をフィーチャーするセンス。どう考えてもスペック的に(ビジュアル的に)劣る。
また個人的に地元が福岡なので、地理的な描写の不備は少し気になってしまうところではある。
しかし、何より問題なのは「ベビーゴジラ」で。あのビジュアルのぬいぐるみが画面の中でウロウロしている限り物語に没入できないし、当時の子供から観ても「ゴジラ」の映画で観たいビジュアルか、と首を傾げてしまう。
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