教授

下町の教授のレビュー・感想・評価

下町(1957年製作の映画)
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「下町」にルビを振って「ダウンタウン」。

悪女役ばかりのイメージの山田五十鈴は可愛らしいし、それにも増して三船敏郎は恐らく世界一愛らしいチャーミングな映画スターだと思う。
当時を知らないのであまり美化しても良くないが、本当にこの当時の日本人の描かれ方のなんと真っ直ぐで、純粋なこと。

戦争が終わって、戦争を引きずりながら、それまでに縛り付けられていたものから、「自由」を模索しようという意思が瑞々しい織り込まれている。

戦争によって帰らない夫を待つ山田五十鈴と、戦争によって妻が他の男の元に去ってしまった三船敏郎。
その間にちょこんと子供が引っかかってる感じ。
そんな可愛らしさから一転。
激しい雨の中で男と女になる、なんてサスペンス。なんだかまるでイタリア映画を観ているようだ。

58分の中に濃密なドラマがある。ああ、人生は続くなぁという苦さ。
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