tetsu

PicNicのtetsuのレビュー・感想・評価

PicNic(1996年製作の映画)
3.8
岩井俊二監督最新作に合わせて、鑑賞。

精神病院に連れてこられた少女。
二人の少年と出会った彼女は、塀の上を歩き、"世界の終わり"を見届ける旅に出るが...。

奥行きのある道路に直線で一本ずつバラを配置していく少年、という独特なOPに、ただならぬ雰囲気を抱かせる本作。
続くシーンでヒロインが医者に羽交い締めにされた瞬間、完全にヤバイ映画だと確信するんですが、本編は、もっとヤバかったです...。(困惑)

若い浅野忠信さんや、寝ぼけたような可愛らしい声を持つCharaさんという魅力的な役者陣でさえ、飲み込まれる岩井俊二ワールド。
キリストや黒い天使にも見える二人には『undo』同様、キリスト教の影響を感じましたが、それ以上に「思春期の"性"にまつわる悪夢」を映像化したようなトラウマシーンの連続に、監督の変態性を思い知る作品でした。

過去の罪に囚われつづける主人公、
それは「原罪を背負った人間」というキリスト教的な価値観にも通ずるような気もします。
彼が、旅路の果てにたどり着く、残酷ながらも美しいラストに是非、注目してほしい一作でした。
tetsu

tetsu