原題はBroken Lullaby。
第一次世界大戦で戦死したドイツ人青年の両親の元に、彼を大戦中に殺した敵国のフランス人青年が懺悔のために訪ねに行くという物語。
戦争によって皮肉にも引き合わされた彼らの運命にドキドキしながらも、切なさに胸がいっぱいになった。
緊張感と安心感の緩急のメリハリがあり、そのテンポの良さはピカイチだろう。さすがルビッチ!
教会でのミサで立ち並ぶ軍人たちの腰から見える銃の鋭さ、亡くなった男の写真ごしの主人公といったカメラワークのセンスも抜群。
何気に印象に残ったシーンの一つは、
町の人々が出窓を通して直接的に情報共有するシーン。
噂などあっという間に広まっていく様子をあえて直接的に描いているのが面白い。
そしてお店のドアをわざわざ開けて彼女たちの姿を確認するのでベルが鳴る…という見えないところの演出も完璧。
戦争で大切な人を失った人々と、戦争により自ら十字架を背負うことに決めた男。
彼らの奇妙だがあたたかな交流に、憎しみや恨みにすがることの無意味さを強く感じる。
最後の仰々しくない、表情と音のハーモニーに酔いしれ涙が止まらなかった。
余韻を登場人物とともに感じられる素敵なラストだった。