無実の罪で投獄されたユルマズ・ギュネイが刑務所の中から助手を代理監督にして演出し、パルムドールまで獲っちゃった映画。かなり前から期待していたのだが、驚くほど退屈。
トルコの刑務所を仮出所した5人の囚人それぞれの顛末を描いているが、まず5人それぞれの見た目の特徴がわかりにくい。みんな口髭を生やしていて、特にこれといった個性もないため、誰がどうなったのか判別不可能。
その上でまとまりもメリハリもない場面や物語が続く。
時折出てくる地名を表すテロップのダサさも酷い。たまに出てくる風景(クルドの村や雪原など)を除き、印象的なカットはひとつもない。
何より致命的なのは、室内の場面が暗すぎること。何が映っているのかわからないレベルで暗い。字幕しか認識できない状態が続く画面を、映画と呼ぶことは出来ない。撮影の問題か、ポジが悪いのか、今回の上映に使われたデータが酷いのかはわからないが、完全に放送事故である。
結論:監督が現場にいないと映画は出来ない。