路(みち)の作品情報・感想・評価

路(みち)1982年製作の映画)

YOL

製作国:

上映時間:115分

3.7

「路(みち)」に投稿された感想・評価

Solaris8

Solaris8の感想・評価

4.9
東京国際映画祭で近未来のディストピアを描くグレインという映画を観たがトルコの不毛の大地を観て、故ギュネイ監督の路(YOL)を想い出した。

路(YOL)が作られた時代のトルコは、長らく軍事政権が続き、グルド人だったギュネイ監督は獄中から指示を出し映画を撮影する。フランスへ亡命し映画を完成させるが、路(YOL)が遺作になった。

映画は仮出所を許された5人の囚人達の5日間の旅を追った映画であり、仮出所中に起きたエピソードの積み重ねで、トルコの不条理と矛盾を描く。

義理の兄の犯罪を手伝って投獄された、ある囚人は久しぶりに妻と再会するが、義理の兄を見捨てたとして、その囚人の事を恨む妻の家族に監視される。囚人と妻は監視から逃れ、列車のトイレに隠れて、ようやく愛を確かめるように抱き合おうとするが、知らないイスラム教徒が見つけ、公然猥褻罪だと騒ぎ出し、列車の中でリンチ寸前になる。更に、後をつけ、追いかけて来た恨みを持つ妻の家族に殺される。

ある囚人は刑務所に収監中、日々の生活に困った妻が売春をしてしまい、イスラムの戒律に従って罪を犯した妻を雪山に置き去りにしようとするが、泣き叫ぶ妻の声に、見捨てる事が出来ない。妻を背負って山を降りようとするが、途中で凍死してしまう。妻を失って雪の中で抱き合う父子が痛々しい。監獄へ戻る途中、車窓に映るトルコの大地に列車の汽笛が響き、その中で一人頭を抱える囚人の姿が印象に残っている。

ギュネイ監督が描くトルコは最近のユーロ化が著しいトルコではなく、イスラム教の、馬が駆け回り草原が広がるグルド人のシルクロードだった。映画に描かれたイスラムの戒律や慣習が不条理でトルコが不毛な大地に思えた。

トルコ語のYOLは「路」「道」「旅」「出口」「方向」等色々な意味を含んだ言葉だそうだが、仮釈放された囚人の一人がグルド人で、国境線に張られた鉄条網の外のシリアを見つめながら、国境線の向こう側の世界に思いを馳せる場面がある。

「グレイン」というSF映画には都市部と荒野の間の往来を遮る電磁壁が在ったが現在のトルコもシリア難民問題やグルド人問題等で、国境という壁が立ちはだかる。ディストピアとは近未来に限った話ではないように思う。
yadakor

yadakorの感想・評価

2.0
中東や東欧は映画を社会問題の提起(大げさに言えば告発)の道具として用いる節があるけれど、30年以上たってこの作品が映画として評価され続ける一方、最近にも原宿でトルコ人とクルド人の小競り合いがあったように、その解決に作用することはないのだ
いくら悲惨な社会を映したとしても、しょせん愚痴でしかないということだ
AS

ASの感想・評価

4.4
2015.3.17
fujiK

fujiKの感想・評価

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📼✒️📑
仮出所の場面から始まるけれど、作中「解放感」「風通しの良さ」「自由な気風」といったものがまったく感じられない。刑務所の外に出ても「因習」「圧政」といった、正に“檻”の中といった印象。

雄大な自然と、無邪気だった頃の僅かな記憶だけが美しかった。

見慣れてないせいもあって顔の判別に若干苦労したけれど、観てよかったです。
マミ

マミの感想・評価

4.0
初めて観たトルコ映画
イシ

イシの感想・評価

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全編にそのまま率直に真剣さがあふれていることは伝わってくる。
りさ

りさの感想・評価

5.0
観せられた。
Tyga

Tygaの感想・評価

3.2
監督が、獄中から指示と演出を出して撮影をすべて済ませた後、亡命し、スイスとフランスで編集したという作品。

刑務所の中から仮出所で出てきた5人の囚人のお話。

この時期のトルコは軍事政権が発足し、軍が強い力を持っていた。
既存の国の法律、その場の軍部の人間の命令、さらにはイスラームの戒律に、ギッチギチに縛られた人たちにとっては、看守の言うことを聞いておけばよい刑務所は、外の世界よりも住みよい場所だったのではないか。

ところどころで見せる、その場のものとも、意図的に後入れしたものともつかない、音の企みは面白かった。

イラン映画よりも、男尊女卑を強く感じた。ほぼセミヌードみたいな女性も出てくるし、同じイスラーム圏でもかなり違う。
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