るるびっち

狂恋/狂恋・魔人ゴーゴル博士のるるびっちのレビュー・感想・評価

3.9
リメイクしたい面白さ。
しかし本作をリメイクしたら問題も出るだろう。それはリアリティの点だ。
他人の腕を内緒で移植されたり、移植した腕の持ち主がナイフ投げの得意な殺人犯だったり、ピアノは弾けなくなるがナイフ投げは上手くなったりと、物語としては面白いが荒唐無稽な部分をどう処理するかである。
けれど移植手術により人格に変化が出たり、ドナーの体の記憶が転移する例もあるので、あながち荒唐無稽とも言えない。

『宝島』などの昔の物語が持つ面白さ冒険性というものを、現代人が見てもリアリティを損なわないレベルで面白く描くというのは難しい。
リアリティにこだわり過ぎて、昔の物語の持つ奇抜さを失うのも惜しい。
『ガリヴァー旅行記』『宝島』をラピュタとして再生したように、本作も昔のオカルティズムを現代ホラー映画として上手く再生したら面白いだろう。

『ブラック・ジャック』にも手や目を移植する話があるが、手塚治虫もこうした映画からインスピレーションを得たのかなと思った。
物語のもつ飛躍や奇抜さは、『ブラック・ジャック』を始めとする手塚作品にも共通している。
しかし今ではその手塚漫画ですら、リアリティに難があると言われるだろう。物語はどんどん創造性がしぼめられている気がする。
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