黒沢清監督の「Cloud」公開に合わせて、以前から観ようと思っていたこちらを。「クラウド」っていかにも「回路」の後継ぽくて、黒沢作品でまずこの映画を連想しました。結果、まだCloudは観れていないのでわかりませんが、タイトルが想像を完全に超えてた。。そう来たか…
実際、序盤はいかにも「回路」っぽくて、ダイヤルアップ接続とか超懐かしい!あの音がもう…(歳がバレる、笑)パソコンに有線で接続しているのとか、もしかしたら今の若者はわからないのかも!?と思いながら観ていました。まさに映画は時代を映す鏡…(使い方違。。)
で、結局、インターネットを通じてやってくる恐怖は何処へ行くのか。
物凄く興味を持って観ていましたが…
まさかの!!
流石黒沢清である。。
ぶっちゃけ、かなりトンデモ展開ではあると思います。
(自分はちょっと「回路」というワードを意識しすぎてたかも。そこにばかり集中していたので)
でも、なんかキヨシイズム感はわかるような気がした。
(言うほどフィルモグラフィ観れていませんが…「予兆 散歩する侵略者」とか系ではあるとは思う。本家のほうは記憶が無いのでわからないけど)
冒頭に日テレと出たので「うわー!」と思いましたが、その勘は当たってる作品。。黒沢清なんだけど、かなり大衆エンタメに寄ってるというか、そもそも黒沢清はエンタメなのかも…(これは濱口竜介監督にも引き継がれている。個人的に私は彼の作品も想像以上にエンタメと感じる事が多い)
わざわざDVDをレンタルして観たのですが、「デラックス版」と書かれており何がデラックスなのかと思ったが、イベント(完成披露試写会やカンヌの舞台挨拶。ちなみに本作は国際映画批評家連盟賞受賞)やメイキングなどが入っていました。黒沢監督が超超超お若い…!!そして煙草をスパスパしているシーンが随所に!これまた時代を感じた。
でも、メイキングにキャストだけではなくスタッフさんたちの会話も入っていて、例えば、飛び降りを最初から最後まで映すシーンがある作品なのですが、これをCGにするとおかしくなるとか、どうやって合成したら違和感がないかとか、その会話がめちゃくちゃよかった。これだけを見る為にレンタルしてもいいんじゃないかというくらい。(実は本編を物凄く眠い時にぶつ切りで3回位に分けて観たので集中力がなかったせいもあるが、メイキングで俄然引き込まれてしまった)
キャストは加藤晴彦さんが主演でこれまた懐かしく!(今は見ないけど現役なのかな…?と思い検索したら、2年前位の記事にお写真があり、かなり変貌していた。。苦笑)
あと麻生久美子さん、小雪さん。このお二人は今でもちょくちょくお見掛けするように、20年以上前の作品ですがそれほど変わっていないです。麻生さんはお若いなと思いましたが、小雪さんなんてほぼ同じでは…(凄)
第一線を張り続けるのって本当に凄い事なんだなと思います。
有坂来瞳さんとかも懐かしすぎた。(検索してないけど何されてるんだろう)
武田真治さんが出てきて、これ「アナザヘヴン」(ドラマ)あたりの公開なのかな?と思った。あれ結構好きだった。っていうか加藤晴彦さんが出てたんですね…!(記憶になかった…)ではなくて、「アナザヘヴン」じゃなくて私が連想したのは「NIGHT HEAD」だったわ!(苦笑)なんか似てた。。
後半はあれでしたが(ある意味洋画味はあったが!)、
序盤のガラス越しのシーンとか、まさに「予兆 散歩する侵略者」で感じたような、めちゃくちゃ美しい、計算され尽くした映像が見られます。
そのあたりは全く経年劣化はありません。凄いと思います。
個人的に、ドア、窓(ガラス)、カーテンの3点セットが黒沢清って感じがする。
ストーリーは、とにかく振り方?振れ幅?が凄い。
ホラーという概念を取っ払っているというか…
実際、試写会の映像で監督がそんなような事をおっしゃっていました。
スポンサーが居るので(とは言っていませんでしたが、笑)いかにもホラーの「ああ、怖い!」っていう驚かし要素(ビックリさせる)はまあ入ってるっちゃあ入ってるんですが、メインはそこじゃないんですよね。
個人的には、何だろう…これは割と月並みな感想かもしれませんが、出てくる登場人物で負のオーラを持ってる人と陽のオーラを持ってる人が居るんですね(私はスピリチュアル系ではありません、笑。でも、何となくこの言い回しがピタッとくるような感じ)。なんていうか、ストーリー全体を通して負のオーラが伝染していく感じなんですが、それを最後まで跳ねのけ続けた人の生気みたいなものがめちゃくちゃよかったと思います。実体感、みたいな?生きてるって大事。
「Cloud」も楽しみです!
追記:個人的にあの光の点と点みたいな映像を見たことがあった気がしたんだけど、あれって有名…?それともこの映画実は観てるのかな?記憶にないだけで。。でもあの「つかず離れず」感がめちゃくちゃ現代にも通じていて、そこがまた色褪せないというか時代を感じさせないと思えてとてもよかった。