けーな

アパートの鍵貸しますのけーなのレビュー・感想・評価

アパートの鍵貸します(1960年製作の映画)
4.6
監督と脚本を担ったビリー・ワイルダーの手腕が発揮された名作だ。アカデミー賞を5部門受賞したのも納得。CGや特殊効果のない時代に、緻密に練られた脚本と、細かい気持ちをセリフと表情で表現する俳優達の名演技で成り立った映画の王道だ。

ビリー・ワイルダー作品の良い所は、笑いの中に悲哀を感じる部分が織り込まれている点だと思う。それと、気の利いた小物の使い方。今作も、まさに、そうだ。割れた鏡を見たことによって、上司の不倫相手が誰だったのか気づく主人公バクスターの表情や、その後の気持ちの揺れ方など、実に見事に表現されている。

笑える部分と悲哀を感じる部分、それらを巧みに演じたジャック・レモンとシャーリー・マクレーンが、お見事だ。

今作は、珍しく、邦題が素晴らしい。
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