Shelby

アパートの鍵貸しますのShelbyのレビュー・感想・評価

アパートの鍵貸します(1960年製作の映画)
3.7
ニューヨークの保険会社に勤めるバクスター。自らのアパートの一室を密会用の部屋として貸し出し、上層部に取り入って出世を目論む。ただ、部屋を借りる上層部の人間達は時間やバクスターの都合を気にせず、部屋を使おうとするため寝る時間を削ったりとバクスター自身うんざりするが、出世のために我慢する日々。
そんなバクスターは、エレベーターガールのフランに恋をするが、彼女はシェルドレイク部長の浮気相手。そんなこととは知らず、部長の言うがままに部屋を貸すが、ひょんなことから二人の関係を知ってしまう。

喜劇俳優ジャック・レモンのコミカルな演技はやはり凄まじい。愛するフランの看病を甲斐甲斐しくする姿は正に恋する間抜けな男そのもの。
茹でたパスタをテニスラケットで湯切りするシーンは愉快で堪らない。

あんなに望んでいた昇進を叶え、これからという仕事を投げうってでも部長の誘いを断り、仕事を辞めたバクスター。彼への気持ちに気付き、バクスターの元へ新年早々走り出すフラン。二人が部屋で互いにトランプのカードを切るラスト。

バクスター「愛してる」
フラン「黙って。カードを配って」

このやり取りに顔が緩まずにはいられない。見詰め合い、互いの気持ちが通じ合っていることを再確認する幸せそうな2人の表情。なんとお洒落で、粋な締めくくりだろうか。素敵な映画だった。
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