アパートの鍵貸しますの作品情報・感想・評価

「アパートの鍵貸します」に投稿された感想・評価

高田A

高田Aの感想・評価

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声を大にして「好きだ!」と言えるラブコメ

このレビューはネタバレを含みます

「妻のある男に恋したら、マスカラはつけないほうがいいわ」

不倫ダメ絶対!たとえ最初は良くても結局、悲惨なことになるよね(^^;
恋愛、不倫の結末あるあるがリアルに、そしてコミカルに描かれていて勉強になった。
心配していたラストはまさかのハッピーエンド!でスッキリ\(^^)/男性が恋してた女性が再び現れ、めでたしめでたし!
やし

やしの感想・評価

4.5
話の作り方うまいなぁ
パスタの作り方が斬新
全部がきらきらしててめっちゃいい映画だったけど、あと30分あったら部長が悪堕ちしてストーカー型のサイコホラーが展開されるのでは…という気持ちでもじもじしてしまうエンドだ
コメディの達人たちがつくりあげた、ちょっとせつなく、そしてお洒落に笑える秀作。

ワイルダーらしいよく作り込まれた脚本だが、中盤からつづくアンハッピーなシーンがややテンポ感を欠くのが玉に瑕だが、なんといってもジャック・レモンとシャーリー・マクレーンの素敵な魅力にやられっぱなし。

クリスマスを経て新年に至るまでの数週間という設定がよく、ラストも軽やかで気が利いている。
菫

菫の感想・評価

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ラケットで湯切り絶対まねしたい
Oto

Otoの感想・評価

4.5
面白すぎる。深刻で切ないテーマを笑いに昇華して伝える、嘘が上手な群像劇。自分が作りたいのはこういう物語だと久々に感じた。大好きな『ラブアゲイン』の源流はこれか。
脚本が面白すぎて罪悪感が湧いてきて、途中で止めて自分の生活と向き合い直してしまった。『情婦』もだけど日常的で限定的な場所でもこれだけ魅力的なシナリオは作れる。
『Stranger Things 3』のラストでNancyが挙げていたという軽い動機で観たけど、こういう乱雑な出会いを大事にしたい。。

テーマは、なぜか不幸な選択を自らすすんでしてしまう人の宿命、だろうか。最近だと『愛がなんだ』に近い。
主人公の自己犠牲が彼女のために見えて実は自分のためだということをグレーにして進めているのが上手。応援できる限界を保ってる。
キャラが全員クズというか、そもそも人間は全員クズなのかもしれない。フランもダメな部分は大いにあるので男尊女卑とは感じないけど、確かに表面的に見ると頭脳労働は全くやっていないし、上司は女は金を与えとけば良いだろうという姿勢。むしろそういう資本主義を批判的に描いているのが今作だと思う。
なのでラストの急激な変化からの結末は、簡単にも見えるんだけど因果応報を感じて許せてしまう。感動というよりは多幸感。


ここからは自分のためのメモ。勉強になることだらけだった。
伏線や嘘がとにかく上手。非言語的な小道具の描写が良いと思いきや、セリフもめちゃめちゃ良い。
関係性の隠し方と見せ方が絶妙なんだろう。驚きと笑いと切なさが共存している。
・こんなクソ上司ばっかなら転職すべきだろ〜と序盤に思っていたけどいつの間にかダラダラと展開
・その上でラストで原点回帰。そもそもはバド自身の問題であるという点を曖昧にしておいて最後で回収
・エレベーターガールが好きなんだろな〜というのも徐々に示す
・昇進の面接と思いきや部長も「部屋を貸してくれ」の依頼
・しかもその相手がエレベーターガールという関係性の交錯
・秘書の盗聴、彼女と部長の関係性は伏せる
・小道具(割れた鏡)がきっかけで気づく。それと同時に割れた鏡に二人のくだけた心を表現(チェーホフの銃)
・隣の部屋が医者の先生で助けを求める
・クリスマスという家族と過ごす日だからこそ成立する展開
・家で寝ている良いタイミングで別の女を連れて変える
・小道具(レコードや手袋)を前兆として示す。笑いと緊張感の同時進行
・騒音がきっかけで隣人は色男と誤解。奥さんの「浮気男はやめとけ」が奇しくも説教として機能する
・覚醒させるための行進で大家に怒られる
・兄が登場するも会社のために事実は開かせないので罪を被る
・自殺してもおかしくない状況、自殺経験の話をした後でのガスや銃声(シャンパン)による笑いの天丼。しかもシャンパンは上司が置いていったもので完璧な伏線
・ケーキを年一回送るというセリフの天丼


参考になりそうな手法。行動によってキャラの性格や感情を見せるのが上手い。
・冒頭でキャラの個性を明示。数字の羅列で保険という職だけでなくバカ真面目な性格も伝える
・どうして部屋に帰れないんだろうという謎を引きずったまま進めて、そっか上司に利用されてるのか、ラブホもない時代かと明かす
・予約変更の調整電話に追われるシーンは彼の性格がにじみ出ている
・部長に「腐ったリンゴ」といってしまう率直な性格に笑える
・傷心しきってストローを飛ばされても気づかない。幸せなラケットとの対比
・不倫の象徴としての小道具(マスカラや口紅)
・ディゾルブと暗転の使い分け。短期か長期か、場所の飛躍か時間の飛躍か、など
・悲しみを持続させないためのカードゲーム


雑多なメモ
・残業なくす流れは良いといえど皆で一斉に帰るのキモいな
・CM飛ばす件、逆に今ではありふれすぎていて笑えないのが凄い。当時はCMが長かったらしい
・バドのストーカーをフランが全く怖がらないの違和感
・Shirley MacLaineが美人すぎる。
・1960ってサイコの年って考えると意外と最近。機械式のスタビを使っていたんだろうか
・サイテーの男(部長)の描写が絶妙、離婚をそそのかしたり。今でもモテてる人がモテるのは変わらない
・いい人はどうでもいい人も変わらない
・昏睡の演技がすごい。医者も叩きまくってるし
・キューブリックという名前には意味があるのか


解説を聞いて
・ハリウッドが最も機能してた時期の映画
・当時はホテル探偵がいて風紀を保っていた
・ビリーワイルダーはSex Comedyばかりで問題になっていて当初は評価も悪かった
・アカデミー賞はハリウッドの映画関係者の賞、批評家とは別
・ジムキャリーやトムハンクスやビリークリスタルなど強迫のコメディには影響大
・オフィスは偽の遠近法による巨大化で小学生が座っている(『群衆』の真似)。トローネルはユダヤ人であることを周りが隠すくらいの天才美術監督。
・ウルフオブ、大統領の陰謀、TVコメディ(フレンズ等)も真似している
・『逢びき』を観て「鍵を貸す人を主人公にしたら」という発想で思いついたが、しばらく進まず。ハリウッドPが実際の報道で「部下の部屋を借りて不倫していて股間を銃で撃たれた」のを観て、これはいけるとなってアイデアを合体した。『昼下りの情事』もこの事件が元
・小道具やセリフの天丼は、I・A・L・ダイアモンドの手柄、軽快なコメディアン。彼と組むまではビリーは暗いノワールばかり撮っていた(失われた週末、サンセット大通り、地獄の英雄)が、コメディの巨匠となってマリリンと撮っている。
・三谷幸喜やキャメロンクロウは大好き。あの頃ペニーレインとは、ほぼ同じ構造。重役用トイレは『ロボコップ』でも出てくる
・Shirley MacLaine、日本人役をやるような特殊な顔。元バレリーナからコメディエンヌに。日本語が話せて、娘は幸子。ケツを触ってるのは監督自身。
・Jack Lemmonは珍しい弱々しい俳優、ハーバード卒のエリート。
・チェーホフの銃=「画面に映る小道具はすべて使え」の精神。https://ja.wikipedia.org/wiki/チェーホフの銃
・ヘイズコード。サイレント時代のハリウッドは酒池肉林やりたい放題で、ユダヤ系が始めたけどカトリックの人が起こり始めた。犯罪者が買ってはいけない、セックスを描いてはいけないなど。ビリーワイルダーはこの抜け目を行った。『お熱いのがお好き』も同性愛なのでアウト
・今作も婚外交渉、自殺はタブーなので、批判されまくった。自殺する人は頭の狂った人として扱いたいというキリスト教の思惑。そもそもはアメリカやハリウッドのタブーを描いていた監督だけど、それをコメディに昇華して隠せるようになった。
・裏テーマのカストロもアメリカの資本主義の怖さとの対極。ビリーワイルダーがアメリカ人ではなく、脚本はネイティブに助けてもらっていた。観光客の視点でアメリカを観ていた。共同脚本もルーマニア人、美術もユダヤ系、音楽もイギリス人。
・医者もユダヤ系の名前で英語が拙いけど、必死に他人を助ける。メンシュはドイツ語。ヒトラーから逃げてきた自分を投影している。そもそもは新聞記者なのでハリウッドを批判的に見れている。ハリウッドに逃げてからはエルンスト・ルビッチの弟子になっていて、観客の心を動かすコメディ術を学んだ。「自分の尊敬するOOならどうするか」の視点は大事
・コメディ術「2+2=4」と言ってはダメで、「2+2=?」と聞いて観客が4!と答える。鏡の正体をセリフで言わない。
・I love youへの返しが「Shut up and deal」で秀逸。トランプともかかっているけど、「ごちゃごちゃ言わずに取り組む」の意味もある。
・一方で影響された『ザ・エージェント』『エリザベスタウン』などは都合の良い女(妖精)への批判を受けた。
・髪を切ったのは上司への失恋なのに当人はそれに気づいていない。恋愛は3回なのに手は4回。変な帽子への失望
・外ロケがほぼない。実際にレモンが風邪をひいていたのでやめた。建物はほとんどセットで、徹底的にコントロールした。テイク数が多くて、各シーン10テイク以上、焼くのは1テイク。ハリウッドシステムが好きで、アドリブさせない。飲んで帰る長回しやくいぎみのセリフなど、ちょっとしたこともすべてシナリオ。無駄がない、徹底的なリハによる「Well-made」。
・それがその後のニューシネマやヌーベルバーグの流れにはとても叩かれた。完璧さゆえに、偶然性がない。歌舞伎や落語などの芸事に近い。『俺たちに明日はない』はアドリブだらけ、撮影所はほぼなくて外ロケだらけ。何が起こるかわからないし、面白くなったものをつないでいる。
・現在はアニメやVFXの文化が広まり、むしろ完全制御のwell-madeに回帰している。コメディをここまで計算して撮れる人は普通はいなくて、現在はHangoverなどアドリブが多い。
・Takerは取っていく人。Giverは与える人。この格差が生まれるのが資本主義。恋愛の話に見えて搾取の話。反逆を起こす皮肉。エレベーターの上下は社会の階級の象徴。
・監督自身が母をアウシュビッツで殺されている。人間や国家への不信が作風になった。Music Manは詐欺師の話で、深夜の告白も保険会社の話。地獄の英雄はジャージー・ボーイズにも与えたが、暗すぎて売れなかった。この暗さはキャメロンクロウや三谷幸喜にはない。


・ビリーワイルダー 10のルール
https://medium.com/the-1000-day-mfa/10-storytelling-tips-from-billy-wilder-1d9d5bdb5760
1.観客は気まぐれだ
2.首根っこをつかんで離すな
3.主要な登場人物の行動のベクトルを滑らかに
4.どこへ向かうのか知っておけ
5.プロットを隠すことに緻密で優雅になるほど、作家として上達する
6.第3幕(転結)に問題があるとすれば、実際にはその問題は第1幕(起)にある
7.ルビッチのコツ「観客に2+2を計算させろ、そうすれば君を永遠に愛してくれる」
8.ナレーションを入れる場合、すでに観客が見たものに言及しないように気をつける。今見ているものに加えるのだ
9.第2幕(承)で起こる出来事が映画の結末のきっかけである
10.第3幕(転結)は最後の出来事までテンポよくアクションに。だらだらとうろつくな *カットを細くして余韻を残さない

*映画の1幕(=部屋を貸しまくる)/2幕(=彼女が好きになったのに上司との関係に気づく)/3幕(=二人の態度が変わっていく結末)
https://ja.wikipedia.org/wiki/三幕構成
Hinako

Hinakoの感想・評価

4.5
白黒映画なのにここまで鮮やかさを感じる映画は初めてだ…
最後の、フランが満面の笑顔で幸せそうにアパートへ走って行く姿を見て、こっちまで幸せな気分になりうるっときてしまった
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