コーカサス

イージー★ライダーのコーカサスのレビュー・感想・評価

イージー★ライダー(1969年製作の映画)
4.2
腕時計を投げ捨て、自由を求めてバイクにまたがり旅に出たキャプテン・アメリカ(フォンダ)とビリー(ホッパー)。
そんなヒッピーの彼らの旅を通し、ドラッグや人種問題、泥沼化するベトナム戦争や反体制運動など病めるアメリカの悲劇を、ステッペンウルフ、ザ・バンド、ジミ・ヘンドリックス、ザ・バーズ、ロジャー・マッギンらの名曲に乗せて描いたアメリカン・ニューシネマを代表する傑作だ。

のちにホッパーが「原点は『乱暴者』」と語るように、保守的な古臭い良識を盾に、いざとなると平気で暴力を辞さない田舎者と、反抗的でありながら傷付きやすいナイーブな若者を描いた描写は確かに相通じるものがあり、また69年という時代背景も手伝ってか、本作では衝撃的なラストが用意されている。

“自由”という言葉ほど、曖昧で難しいニュアンスはないだろう。
元来、人間が生まれながら手にしている 受身的な自由を意味するフリーダムと、一方で争い事などによって勝ち取った能動的な自由を意味するリバティ。
どちらも“自由”を意味する言葉も紐解けば、その意味合いはかなり違うことに気付かされる。

「自由について話すことと、自由であることは、まったく別のことだ。…みんなが個人の自由についてしゃべるけど、自由な個人を見ると、たちまち怖くなるのさ」(劇中ジャック・ニコルソン演じる弁護士ジョージの台詞より)

そう…彼のこの台詞こそが、全てを物語っているのかもしれない。

106 2022