杜口

A.I.の杜口のレビュー・感想・評価

A.I.(2001年製作の映画)
4.3
子供の夢に大人が真正面から向き合ったことで、SFとファンタジーが美しく融和した作品。

AIである主人公の人間になりたいっていう子供の夢=ファンタジーを、大人であるスピルバーグがなんとかSFの科学的世界の中で叶えさせたいってゆう、なんかスピルバーグの子供に対するウォルトディズニーとはまた違った暖かい、でも冷徹さもある眼差しが感じられていいのよねえ。
実際にはキューブリックの脚本が先にあるので、それをスピルバーグがどこまで変えたのかはわからないけれども、スピルバーグの眼差しはキューブリックの眼差しでもあったのかもしれない。

AIである主人公も大人になれれば、人間になり愛されたいという自らの夢にある種、諦めもつく。が、しかしAIなので大人になることもなく、プログラムされた愛は主人公を締め付け続ける。
そうして、ピノキオというファンタジーを信じ続け、いつか人間になれると信じ、行動してゆく。その末に主人公には非常に悲惨な現実がつけつけられ、真っ暗な闇に落ち込む。ここまでならば、非常に現実的な話だったなで終わる。
しかし最後、SF的に奇跡が加えられ、唯一の救いが主人公に贈られる。

ここに同じく暗い話のマイノリティリポートでラストに唯一の救いを加えたのと同じように、スピルバーグの優しさが垣間見える。スピルバーグのそういうとこいいのよねえ。

映画的にはもう文句無しにヤヌスカミンスキーの美しい真っ白な光と真っ黒な影。その中で視覚的に見せる演出が続けざまに見せられ、最高。
特にラスト、主人公がベッドへと向かう時に不思議な見た目のすりガラスが映るとことかいい。

あと、なんか子供が想像したかのようなおもちゃっぽいSF的ガジェットもかっこいい。
それに、子役の演技も素晴らしい。
僕は結構この映画好きです。
杜口

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