アリ・アスター監督のスピルバーグベストは本作なのだとか。
キューブリック原案、スピルバーグ監督脚本という映画史上でも最高レベルの才能のタッグではあるのだが、アメリカ本国では全くヒットしなかった。
学生の時に1度観ており、とにかくラストにボロ泣きしたということだけは鮮烈に覚えていたのですが、今回観返してみて、泣けるという以上に作品全体が暗くペシミスティックな雰囲気が強く(※日本では親子愛の感動作的な宣伝をして大ヒットしたみたいですが)。
所々でスピルバーグの悪趣味いたずら演出も健在(食事シーンが最悪ですw)。アリ・アスターが本作をスピルバーグベストに挙げるのも合点がいくのだが、ただスピルバーグが「母親と息子」という構図を用いること自体は非常に珍しく、異色作といってよいかもしれません。
当時引っ張りだこだった子役ハーレイ・ジョエル・オスメント君の不気味な顔つき、佇まいも素晴らしい。
身勝手にA.I.を作りたいだけ作り、不要になったら処分するという人間の残酷さ。2020年現在に観ても痛烈な、色褪せない傑作。“お母さんに愛されたい”というシンプルな想いが時空を超える。