Takaomi

バタフライ・エフェクトのTakaomiのレビュー・感想・評価

バタフライ・エフェクト(2004年製作の映画)
3.9
タイムトラベルの名作といえばバック・トゥ・ザ・フューチャー。
一方でタイムリープの名作はこの「バタフライエフェクト」と言ってもいいでしょう。

そのくらい難しい設定であるはずなのにややこしくもなく、矛盾点をほとんど感じさせない伏線の仕掛けが見事でした。

BTFのSF、スリラー版と言ってもいいくらい対照的なストーリーです。
とりあえず過去にいってみたいから行ってみる。みたいな楽観的ストーリーではないのがこの映画の一番のポイントです。

主人公のエヴァンには特殊能力があり、どうしてもその力を使い過去に戻ってやり直さないと行けないことがあります。
それは、過去を変えることで大切な人の未来、過去を全力で守ること。
果たして自分を犠牲にしてまで救うことはできるのか。

私たち人は、よく後悔をする。
あのときああしていれば、こうしていればとたられば話で花が咲きます。
そして過去に戻れたらいいなと結論付けて、その後悔に蓋をしめてあたかもなかったことのように終りにしてしまう。

人は、いつも大切な何かを見落としている。

それは、失敗から学ぶことも多いこと。
もし自由に過去に戻れたとして、その後悔や失敗を何度でもやり直せるとしたなら、人は失敗を選ぶことはないでしょう。

失敗しない、理想的な人生しかない世界。そんな世界があるとしたならば、なんて滑稽なんでしょう。

きっとその人はそれ以上成長することはない。
そんな人生で果たして満足感が得られるのだろうか。

大切なことは、失敗や後悔することです。人は失敗をするからこそ、同じ過ちを繰り返さない、今よりももっともっと強く優しくなりたいと思う。

その失敗や後悔の脱け殻が一皮一皮向けていき、やっと今の自分という人を作り出す。自分自身の存在に通じていたことがこの映画のメッセージであるように思う。

それは好きな人や大切な人でもそうだろう。
私が好きな人や大切な人は、これまでの失敗や後悔を同じように乗りこえ、さまざまな偶然 奇跡が積み重なり今こうして好きでいる。

それは同じ場所に生まれ、同じ学校同じ職場でも言えること。
もし過去のひとつでもを変えて今よりも親密になれたとしても、その頃には僕の知っている好きなあの子はいないのだ。

たとえ名前や中身が同じであろうとひとつの経験や、ひとつの失敗、ひとつの後悔、ひとつの偶然が彼女を作り出している。
ちょっとした偶然を必然に変えてしまったときの反動は凄まじく、人の人格を変え、存在すら否定してしまうだろう。

この映画はそれを実証してくれていると思う。
結論から言えば、どんな状況においても人はいつでもやり直せる。
ひとつのひとつの奇跡の積み重ねでこうして、今という時間や周りの人々の存在がある。

そのひとつひとつを愛することが出来れば、やり直すなんて小さなことだし、喜びや楽しさの本質が分かる気がするのだ。

きっとあの二人もまたどこかでやり直せると願う一日でした。

ただ、スリラー感とデッドコースター要素が強すぎたのと、主人公が自己チューで相手に責任転嫁しすぎているのが個人的に受け入れられませんでした。。
めっちゃ不幸だし。。

ヒューマンスリラーは少し苦手かもしれないけれど、脚本は素晴らしく最後まで気になってワクワク観れたし、ラストの曲をoasisにしたのは大成功だと思いました。
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