Ryoma

旅立ちの時のRyomaのレビュー・感想・評価

旅立ちの時(1988年製作の映画)
4.3
ベートーヴェン作曲ピアノソナタ第8番悲壮のピアノの物悲しくも美しい旋律が沁みる。その他全体を通して哀愁漂うギターや優しいピアノの音色が心地よくノスタルジックな気持ちにさせてくれる。
人っていうのは些か複雑で難しいなと。自分が正しく正義だと思っていることでも世間の目や社会、親、子、恋人などの大切な人のことも考えながら生きていかなければいけないもの。その点で両親に共感できるところはありながらも少し自分らの身勝手さや自我を子供に押し付けている節も感じ理解しがたいところも…まだ自分が大人になりきれてないからかな。
リバーフェニックス演じる主人公の自分の道を進みたいけれど親と一緒にいたいという葛藤などにはより感情移入できかなりぐっときた。
人にはそれぞれ自分の人生、時間、価値観や考えがあってそれは誰にも邪魔され踏み躙られていいものではない。それがたとえ家族であっても。家族のことも大切だけれど自分のことはもっと大切にするべきなんだなと強く感じた。
親はやはり子供のことを第一に想っているんだということに改めて納得できたり、逆も然り、子供も親のことを若いながら気遣っているんだということを再確認できたり、親子間のそれぞれの関係性や感じ方に改めて気付けてよかった。
ラストが非常に切なくも同時にわずかながら爽やかでもあって、コーダ あいのうたを想起させる個人的に心に残る名シーンになった。今は亡きリバーフェニックスの名演が光る、様々な別れや旅立ちが訪れるこの時期にピッタリな素敵な作品だった。
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