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旅立ちの時のkomoのレビュー・感想・評価

旅立ちの時(1988年製作の映画)
4.3
ダニー(リヴァー・フェニックス)は両親、弟と共に暮らす高校生。しかし一見平凡に見えるこの家庭には、ある重大な秘密があった。両親にはかつて反戦運動のためナパーム弾の製造工場を爆破した過去があり、FBIから追われ続けている身なのだ。
生まれてからずっと引越しばかりの人生だったが、それでもダニーは家族を大切に想っていた。
ある時一家はニュージャージーに居を移す。ダニーはそこで出会った音楽教師にピアノの才能を見出され、音楽学校への転入を勧められる。そしてダニーは音楽教師の娘・ローナ(マーサ・プリンプトン)にも心惹かれてゆく。
しかし一家には再び逃亡しなければならない事態が迫っていた。


渋いジャケットとは裏腹に、鮮やかな色調でテンポよく進む物語でした。
ピアノに向き合うリヴァーがあまりに美しすぎて、夭折だったとは言え彼が銀幕にいてくれたことへの感謝が溢れます…。
ルックスも鋭気も決して平凡ではないリヴァーですが、この作品で彼が演じたのは、家族を愛し他者を愛し自分を愛する、極めて普遍的な人物像でした。あくまでも『家族の一員』という枠の中において、未知の世界へと向かって行こうとする精神を、高尚ながら自然体で表現してくれていると思いました。

度重なる引越により、まるで人生そのものが『旅』であるかのような一家。
『旅慣れた』者たちが葛藤する物語は、特別な情緒に満ち溢れています。
この家族の中で、旅立ちを迎えるのは一体誰なのか。

ラストシーンのお父ちゃんがとにかく格好良すぎました…。
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