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傷跡のcollinaのレビュー・感想・評価

傷跡(1976年製作の映画)
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以前ポーランドについて詳しく調べる機会があり、キェシロフスキに関わる本を読んだが、そこで自ら「失敗作」としている「傷跡」。

ドキュメンタリーと言われても、「そうなのかな」と思える作品。

主人公が体制側と市民、そして、家族との間で揺れるのは分かるのだけれども、主人公の心境をもっと掘っても良かったのでは。後のキェシロフスキ作品に現れるような、抉られるようで、体にしみこんでいくような、カメラに映る彼らはまだいない。

ポーランドで、赤ん坊を立たせるのはいかに難しいのか。

キェシロフスキの作品はポーランドの背景を知らなくても観られるのだけれど、ポーランドの観客とキェシロフスキ監督の間にはもっと密接な会話が行きかっていたんじゃないかなと思う、最近。
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