一人旅

真夜中の虹の一人旅のレビュー・感想・評価

真夜中の虹(1988年製作の映画)
4.0
アキ・カウリスマキ監督作。

父を自殺で亡くしたカスリネンは遺産として残った車に乗り込み南へ向かう。やがて行き着いた先で仕事を見つけるが・・・。

カスリネンに次々訪れる災難。
二人組のチンピラに後頭部を一撃され、有り金全てを速攻で奪われてしまう。さらに、後日偶然見つけたチンピラに借りを返そうとしたところ、警察に逮捕され抑留される。
金もない、仕事もない、家族もいない、友達もいない、何もない・・・。
ないないづくしのカスリネン。
しかし、違反駐車がきっかけで知り合った一人の子連れ女性イルメリと共に計画した国外脱出を夢見て奔走し始める。

イルメリと出会う前のカスリネンに将来の明確なビジョンは無いような印象だ。
新たな目標が出来たことで、そして何より愛する人が出来たことでカスリネンは絶望の中に一筋の希望を見出していく。

カスリネンほどの不遇と悲劇を味わう人間は現実でもそうはいないだろう。それでもカスリネンは前を向いた。無口で無愛想な男だけど、幸福を追求し続ける限りは運と神は見放さないのかもしれない。そう信じたい。
一匹狼カスリネン.........人間の底力のようなものを感じさせる。
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