Melko

真夜中の虹のMelkoのレビュー・感想・評価

真夜中の虹(1988年製作の映画)
3.7
「離婚したの」
「どうってことない」
「子持ちよ」
「作る手間が省けて良い」
「いつも自信家ね」
「いや、今初めて自信が出た」

Oho, kiva tuuli.(あぁ、気持ちの良い風だね)

おお、さすがカウリスマキ。
どこまでもシュール。
ところどころホッコリするのに、ラストはアレで良かったのか、なんかちょっと無理やりハードボイルド切ない感じにした印象もあって、あぁなんかシンプルには展開させてくれないのね、って、らしさが詰まってたと言うか。

カウリスマキは「労働」の大変さと滑稽さも描くの好きだね。
これ別に映画だからって誇張されてる訳ではないのよ、生粋のフィンランド人ですら、良い職に就くのは至難の業なのよ。
とにかく学歴がものを言う社会。なんなら学歴だけあってもダメな場合もある…

主人公のような肉体労働者はどこまでいっても日雇いとかの仕事にありつくのがやっと。
とことんうまくいかないやさぐれまくって教会で寝泊まりするのに対して、シンママのイルメリは子供を養いローンを返すためにいくつもの仕事を掛け持ちして働く。守るものがあると違うわねぇ
「お母さん」じゃなくて「イルメリ」って息子が呼んでたから、もしかして元旦那の連れ子か?とか色々考えちゃった。だとしたら元旦那はクソだな全く。

ちょっとオトボケで口数が少ない(大体のフィンランド男性はそんなイメージ)からか、とことんツイてない主人公カスリネン
ここに居たいと思う場所を手に入れたことでの心境の変化と立ち回り

看守が茶化した一言にムカついて鉄拳をお見舞いするところ以外は、彼の喜怒哀楽は全くわからない。笑わないし、怒らない。
男は黙って行動で示す
みたいな。一応房の中で想いを吐露する場面はありつつ、それでも非常に淡々としてる。

人物にグッとは寄らず、なるべく引いて俯瞰で映すのがカウリスマキ流。

クソ寒いのにオープンカーを譲るシュールな父
フード閉まるんじゃん!!笑
大金は全部財布にしまっちゃダメよ。小分けにしておかなきゃね
通貨がマルッカだった時代

固めた意思は曲げずに、妻子を守っていってほしい、強い男になってほしい
と思わざるを得ないラスト
フィン語の♪Over the rainbow🌈
虹の向こうで幸せになってくれ
Melko

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