えびちゃん

眺めのいい部屋のえびちゃんのレビュー・感想・評価

眺めのいい部屋(1986年製作の映画)
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CMBYNの脚本、ジェームズ・アイヴォリーの監督作。
『日の名残り』と本作を観て、まさに名匠…!と感じた。

人にも、自分にも嘘をつかない、こんなに美しい恋愛したいわ…と思わせてくれてありがとう、ジェームズ・アイヴォリー。長生きしてね。

清々しくて、もどかしくて、美しく愛おしい、品行方正で良質な映画でした。
80年代の映画、ことハリウッドにおいては実験的っていうか新しいことしよう!みたいな映画が多い印象なので、本作のような映画の中の映画みたいな作品に出会えて本当に嬉しい。
編集も良かった!シーンごとに扉絵のようなものが入っていて戯曲を観ているようだった。
王道・身分差恋愛映画。
20世紀初頭イギリスが舞台。
主人公のルーシーはアッパーミドルクラスでイタリア旅行中に出会ったワーキングクラス出身のジョージとキスをしてしまう。
ルーシーは帰国してつりあいのとれた階級であるセシルと婚約するが、偶然ジョージが隣に引っ越してきて…

イギリスの田舎の美しい風景と衣装、嫌味のないオペラ、どこをとっても素敵でうっとりした。
と思えば、男3人で裸になって水浴び、追いかけっこする無邪気さ。(本気のすっぽんぽんゆえ、無粋なボカシを入れられてしまい…)
特筆したいのは、麦畑でのキスシーン!
マイベスト・キスシーンかもしれない…!

婚約破棄のシーンだけ腑に落ちなかったな。
いきなり結婚辞めるわってなったのにセシル理性的すぎでしょ…とモヤモヤしたけど、感情的にならないのがイギリス紳士なのかな。
ただ、ルーシーと別れ、階段に腰掛け靴を履き、頭を抱えるシーンだけが彼の感情を現してた、そのカットはすごくよかった。

セシルを演じたダニエル・デイ・ルイスの演技よかったです。
教養はあっても興味の幅が恐ろしく狭くて、ルーシーをトロフィーワイフ扱いする、中産階級であることだけが取り柄のおぼっちゃん。堂々と無職って言うな!
情熱だけで生きてるジョージとは正反対でありコントラストが効いた役を粛々と演じていると思いました。
ファントム・スレッドで引退とかもったいない!
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