砂場

遠雷の砂場のレビュー・感想・評価

遠雷(1981年製作の映画)
4.5
公開当時見て中身をほとんど忘れていた。改めて見ると音楽のリズムと画面のリズムが気持ちいいなと思った。冒頭のタイトルの出方もかっこいい。
音楽担当の井上尭之は本作ではフュージョン、シティポップ風のグルーヴを聞かせていてドロドロしそうな題材の割にはカラッとあっけらかんとしている雰囲気。
よく考えるとこのビニールハウスも団地の横にあり、郊外の農村でもなく地方都市でもない中間的な場所であり、軽めのフュージョンノリが結構合っている。初めて永島敏行が石田えりをドライブする場面ではレゲエがかかるのも良い。
なんと言ってもラスト付近で二人が「わたしの青い鳥」を歌うのだが、これが最高に素晴らしい。
これは立松和平の原作にあったのか、根岸吉太郎の演出か分からないがこれを考えた人はすごい。しかも妙に長いのがまた良い

70年代ATG的雰囲気が薄れ、80年代的になってゆく流れに位置していたと思うが本作は音楽の使い方がその時代の変化をうまく表現していると思う。
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