RAY

ロッキー・ホラー・ショーのRAYのレビュー・感想・評価

ロッキー・ホラー・ショー(1975年製作の映画)
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“だからこそ、笑う”


ケラケラ笑いながら観てしまいました。
だって、キャラクターは面白い、台詞も面白い、音楽も楽しい。
こんな要素が揃っていて楽しくないわけがありません。

最初に、ケラケラ笑いながらって書き出しておいてなんなのですが、この作品には明確で比較的重たいテーマやメッセージがあります。
当時は特に、この作品に対して賛否両論が分かれたと聞きました。
だけど、僕はこの映画の独特で不思議な世界観や、メッセージやテーマとのギャップがとても好きだと思いました。
好きだと思っただけでなくて、笑いながら大切なメッセージを受け取ることが出来た気がしています。


この映画を観るきっかけは、“ミュージカル部”の皆さんにちょっとした相談をした際に、“こんなときに観る映画”として紹介してもらったことでした。
僕はその時は落ち込んでいたけれど、落ち込むだけが悩みではなくて、人にはその時々で違った悩みがあると思います。

この作品を観終えた後に、「どうしてこの作品を紹介してくれたのかなぁ」と考えていたのですが、(紹介して下さった皆さんの意図と違うかもしれないけれど)それで気付いたことがあります。

先にも書いた様に、この作品には比較的重たいテーマとメッセージがあります。
それは人の“悩み”で言うところの、誰かに話しにくいことであったり、その人にしか分からない深い悲しみであったりするのですが、冒頭の感想でも示した通り、それらをむしろ楽しく、そしてコミカルにこの映画は表現しているのです。

そのことから思うことが幾つかあるのですが、そのひとつは“苦しいことだからこそ笑いに変える”と言うことです。
もちろん、悩みを告白したり、苦しいことを「苦しい」と言ったりすることはとても大切なことです。
ちょっと感覚的な表現になってしまって申し訳ないのですが、“その人が笑っているからこそ伝わってくる苦しみ”みたいなものがあると思うのです(それを思うと、あらためて三浦春馬さんのことが想えて仕方がないのですが)。
つまり、この映画は楽しく、コミカルに大事な部分を表現することで、そのメッセージを強めた作品なんだと思います。

そして、ミュージカル(そして、ロック)の要素を取り入れた事が、個々のキャラクターの良さや心情であったり、それぞれのシーンであったりにエッセンスが加えられていて、そのことが観る人をより惹き付ける要因になったのだと感じました。


ミュージカル部の皆さんの意図とは違うのかもしれないけれど、問題は問題として“真剣に”受け止めることが出来たけれど、その上で、観終えた僕は前向きになっていました。
その様な受け止め方や前の向き方もあるんだとあらためて感じています。
笑うことは、ある時は楽しさを伝え、ある時は悲しみを伝える。
だけど、その笑いがマイナスからもプラスからも力を与えてくれることがある。


色んな意味で大切な作品になったのでスコアは無しにしますが、本当に良い作品でした。


観て良かった。
RAY

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