倉持リネン

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶジャングルの倉持リネンのレビュー・感想・評価

3.8
子供の頃から数えて10回近く観てると思う。クレしん史上ダントツで訳の分からないラスト、、好き、、
原作ファンなので全く気にならなかったが、最近一緒に観た友人はアクション仮面がしんのすけと当たり前のように知り合いなのに首をかしげていた。そりゃそうだ

パラダイスキングの理不尽すぎる行動もわかりやすい悪、という感じで良い。子供向けだしね
というか敵を組織にしがちなクレしん映画の中で珍しく単独の悪役だから印象的なのかな。人間臭くて良いヒールだと思う。

メインのストーリーとは少し離れるが、この作品では「大人」の姿が印象的に描かれていると思う。
オトナ帝国と同じに思えるかもしれないが、あれは匂いによる洗脳である。本作はもっと深層心理に基づいた「大人」だ。

本作の最初の舞台は豪華客船。かすかべ防衛隊のメンバーとその家族は船内で行われるアクション仮面の新作映画試写会に参加していた。
何やかんやあって突然大人達が全員誘拐されてしまい、船内に取り残された子供たちは不安に飲み込まれ泣きわめく。が、主人公のしんのすけに限っては他の子供たちと違う点があった。それは、まだ赤ん坊である妹のひまわりも一緒に取り残されているという点だ。
守るべきものがあるしんのすけは、船内で唯一の「大人」と呼べるだろう。

そんな「大人」であるしんのすけは、かすかべ防衛隊の仲間たちと共にボートで親達が連れていかれた島へ向かう。(ちなみにかすかべ防衛隊のメンバーは初めは危険だと反対する。この時、1番最初にしんのすけについて行くと言い出したのは元々親が乗船していないボーちゃんである)
島でのしんのすけはいつも通りといえばいつも通りだが、この後ひまわりと合流するまで特に「大人だな」と感じることは無い。

一方その頃、島で強制労働させられていたひろしやみさえは、船内にいた時と比べて感情がすごく激しくなっているように感じる。怒ったり、泣いたり、子供が近くにいたら情けなくてできないような振る舞いをするのだ。「オトナ帝国」のような赤ちゃん返りでは無いものの、明らかに守るものが身近に無くなり精神年齢が低下しているように思えた。

さて、しんのすけ達を見送り今度は自らがシロを守る「大人」になったひまわりは、結局なかなか戻らないしんのすけたちを追って島へとたどり着く。海も山も勇敢に乗り越えてきたが、島でしんのすけ達と出会うと安心したようにぐずり、ここでまた大人のしんのすけと子供のひまわりという構図が戻ってくる。

ここまでもこれからも本当に面白いシーンだらけだが説明しても笑えないので割愛。
最終決戦まで飛ばします。

この映画で敵と戦うのは野原家でもかすかべ防衛隊でもなくアクション仮面!メインに描かれることは珍しいのでとても嬉しい。
ハイレグ魔王や3分ポッキリでも活躍した彼だが、今作が1番俳優「郷剛太郎」としての姿が描かれている。
勿論本当はアクション仮面ではなくただの「俳優」であるが、それでも子供たちにとっての「かっこいいヒーロー(=大人の代表)」でい続けるために懸命に戦う姿に心を打たれる。
大人達がアクション仮面を応援するシーンはなんだかジーンとくるものがあった。

と、ここには映画好きが多いと思うので映画好きの人が好きそうな点に絞って解説してみました。普通にくだらないお下品なネタもあって楽しい映画ですのでぜひ!
倉持リネン

倉持リネン