このレビューはネタバレを含みます
愛すべきザ・B級。蛇の怪しい美しさを楽しめる映画。それだけに蛇が殺されるシーンがつらい。その点だけ除けば、なんとも言えない味わい深さがとてもクセになる。黄ばんだ空気がなんとも言えない。
監督のフェチがそこかしこに感じられるのも良い。例えば序盤に、眠る主人公が艶めかしく撮られた謎のシーンがある。なぜそこで主人公を色っぽく見せるのか分からないけれど、しかし不思議とその演出がハマっているように感じてしまう。今となっては安っぽい技術も味わい深さの一つになっている。
そしてストーナー博士演じるストローザー・マーティンがこれまた良い味で、優雅さと紳士感そして胡散臭さが巧みなバランスで同居している。蛇のハリーを扱うときの愛情こもった仕ぐさがかわいい。
ズレた邦題(吸血要素ゼロ)と分かりにくい原題(好きだけど)、それらと内容があわさり奇妙かつ絶妙なB級ハーモニーを奏でている。鑑賞後は良いB級を見たぞ!という満足感でいっぱいになるからおすすめ。