イチロヲ

地獄のモーテルのイチロヲのレビュー・感想・評価

地獄のモーテル(1980年製作の映画)
3.5
片田舎でモーテルと精肉所を経営する兄妹が、訪れる旅行客を次々と捕まえては食用肉に変えていく。西部劇のスター俳優、ロリー・カルホーンが老齢のサイコパスを熱演している、ホラー・コメディ。

バイク事故に遭ったヒロインの物語が用意されているが、被害者側の視点ではなく、加害者側の視点でドラマが進行する。非道徳的なことをやっているのだけど、当事者からすると、いつも通りの日常に過ぎない。この倒錯的な雰囲気作りが面白い。

兄妹の農場では、捕まえた旅行者の首から下を畑に埋めて、作物に見立てるという特殊農法を実践。様々な性格の来訪者が続々と登場しては捕まっていく。客人のキャラでは、アブノーマルプレイを嗜好する変態カップルが微笑ましい限り。

醍醐味となるのは、兄が敬虔なキリスト教徒で、禁欲主義者というところ。神様のありがたい御言葉を聞かせ、相手を癒すことができるのだけど、その裏の顔はサイコパス。「神様が命令したから」という理由で殺人を犯してしまう人間の生態を楽しむことができる。
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